社会福祉実習

2017年9月17日

9/22から後期が始まります。大学は2期制ですので、前期は4月から、後期は10月(本学では1週早く)から授業開始です。

 

大学生の夏休みは1か月半ほどあるので、アルバイト、部活、ボランティア、旅行などいろいろな経験ができますが、国家試験や資格試験を受ける学生は『現場実習』を体験する時期でもあります。

 

社会福祉士の受験を目指す社会福祉学部3年生は、今年も8/16から9/19までの24日間、相談援助実習に励んでいます。
約1か月の間、社会福祉士や関係専門職に同行して、大学の座学や演習で学んだことを実際の現場で理解し、知識の構築をおこないます。
相談援助実習では、日ごろの生活に悩みや不安を抱えた方と接する場面がたくさんありますので、実習の初期段階では学生たちは戸惑いを感じるようです。実習後半は少しずつ相談援助業務の本質が理解でき、業務に魅力を感じていきます。この経験を経て、学生は「福祉専門職になりたい」という意識を確固たるものにして、卒業研究、就職活動、国家試験に臨みます。

   

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教員は1週間おきに学生から実習内容の報告を受けます。1週目・3週目は帰校日指導として学生が大学に戻ってきて、2週目・4週目は巡回指導として教員が実習先に訪問します。 

今週は2回目の巡回でした。写真は宮崎市内の施設で相談援助実習を体験している臨床福祉専攻介護コースの3年生です。彼女は介護福祉士と社会福祉士のダブルライセンスの取得を目指しています。

実習も残すところあと1週間。1か月の体験でずいぶん表情もかわり成長を感じ取れました。実習最終日にはまとめの報告会が各実習先で開催されます。実習の総仕上げとしてあと1週間頑張ってほしいです。

臨床福祉専攻 三宮基裕

学生の夏休み

2017年9月13日

介護福祉コースの稲田です。

 

今日は、九州保健福祉大学 臨床福祉学科の夏休みの様子をお知らせします。

夏休み(正式には夏季休業)は、だいたい8月のお盆前から、9月の第4週目ごろまでです(9月の最後の週から後期の開始となります)。

 

学生の様子ですが、

4年生
社会福祉士・精神保健福祉士・介護福祉士の国家試験のため大学に来て勉強この写真は、毎日10時から、まずは個別に問題を解き、それからグループになってみんなで解いていきます。国試の勉強は、最終的には自分との闘いですが、グループですることで、お互い刺激になったり、また、他の学生に教えるには自分がきちんと勉強していないといけないので、自分自身の勉強にもなっているようです。
この後は、大学に残って個人的に勉強したり、卒論したり、おしゃべりしたり、時々寝たり…しています。この合間に、就活で施設見学や面接等に行っているようです。


この勉強会は、介護福祉コースの清水径子先生が自主的に開催しています。

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また、精神保健福祉士の受験資格を希望している学生は、20日間の「精神保健福祉援助実習」をしています。

 

3年生
社会福祉士の受験資格を希望している学生は、8月16日から9月19日まで、24日間の「社会福祉援助技術実習」をしています。

 

2年生
「介護福祉コース」の学生は、8月17日から9月8日まで、17日間の「介護実習」をしています。

 

1年生

大学生になってはじめての夏休み。バイト、旅行、キャンプ、家でゴロゴロ…しているのではないでしょうか?勉強してるかな?

 

いろいろな受験資格を取得するため、夏休みや春休みに実習が計画されています。どこかのCMで「資格は裏切らない」とありますが、国家資格は「一生もの」です。「休み」が少し減っても得るものは大きいと思います。

夏休みも残り少ないですが、有意義に過ごしてください。

オープンキャンパスで感じたこと

2017年9月 4日

8月27(日)に今年3回目のオープンキャンパスが開催されました。我々教員、職員、学生も朝早くから準備して、来訪者をお待ちしておりました。今回の来訪者は前回と比較して、多かったような気がします。来年の入学者の増加に期待したいものですね。

 

臨床福祉学科では「なんでも相談室」を設置し、教員、学生、OG/OBが来訪者の相談にのるようにしています。長年にわたってこの相談室をやっておりますが、この頃の高校生の変化に気が付きます。多くの高校生は、希望する学科をかなり決め打ちして来校してくれるのです。したがって相談内容も資格でどんなことをするのかとか、学生生活の状況、できるバイトなど、かなり具体的なものが多くありました。それに対して学生やOG/OBが一生懸命答えてくれていました。特に現場で活躍しているOG/OBの説明には高校生だけでなく、親をも納得させる力があり、とても助かっています。回りながら話し合いを聞いていると、良い話し合いが行われているなと実感しました。ただ、決め打ちできている高校生が多い半面、物見遊山的に相談室を訪ねて来てくれる人が少なくなってきています。したがって、大学全体の説明が終わった後に、わっと来訪者が増え、対応に追われますが、それが終わると余裕もでき、OGやOBの近況をじっくり聞けるようになります。話を聞いていると、あの学生がこんなにも立派になったのかと驚かされること頻りです。オープンキャンパスは、卒業生たちの成長を見ることが出来る良い機会にもなっています。

 

このような、現場で活躍しているOG/OBを見ていると、我々の仕事の重要性を改めて感じます。世間では福祉専門職がまだまだ少ないと騒がれていますが、我々はしっかりと社会の要請に応え得る学生を送り出しているのです。来年には、もっと多くの学生が入ってきてもらい、もっと社会に福祉分野で有用な人材を育てていかねばと、思いを新たにさせられるのもオープンキャンパスの時です。高校生のみなさんにはぜひ福祉の重要性を認識していただき、我々の学科にも注目をしてもらいたいものですね。

(文責  秋葉 敏夫)

 

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宮崎刑務所見学に行ってきました!

2017年8月31日

8月8日、ゼミ生や本学教員と一緒に宮崎刑務所見学に行ってきました。なぜ刑務所見学?と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、実は、私達の国では生活に行き詰まり、生きるために罪を犯す方々が多数いらっしゃるのです。

生きていくことに困った時、誰かの支えがあれば、福祉の支援があれば、罪を犯さなくてもよかったのではないでしょうか。

今回は、刑務所見学を通して社会の現状を知るとともに、安心して生活していくための社会づくり、そして、受刑者の方々が社会復帰するために必要なことを教えていただきました。

 

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当日は、台風5号が過ぎ去った翌日で、とても良いお天気でした。そのため写真が逆光で見えづらいのですが、今回の見学研修でご説明、ご案内いただいきました緒方昭彦所長(後列中央)、元田治久総務部長(上写真:後列右)、庶務係長(下写真:後列右)です。


 

 


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お忙しいなか、見学研修を快くお引き受けいただき、また、私達の質問に丁寧にご回答いただき、誠にありがとうございました。そして、猛暑のなか、見学の際に多くの刑務官の方にご協力いただきました。重ねてお礼申し上げます。

最後に、受刑者の皆様にも大変、お世話になりました。心よりお礼申し上げます。

 

 

(参加学生の感想)

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累犯者の中には家族や親族等との繋がりを失い、職や自身の居場所もないという方が多く存在することが分かった
しかし彼らが社会復帰
する上でそれらは欠かせない要素となっており、出所後の生活を支援する福祉専門職との連携による社会復帰支援が重要であると感じた。

黒川瑠渚

 

 

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自分は初めて刑務所見学をして、自分が知らないことが多くあったことを実感した。もし、自分が刑務所の社会福祉士で働くことになったら、受刑者の方が出所した後に、地域で住みやすい生活ができるような支援をしたいと思った。
本当に今回は貴重な体験をさせていただき自分のレベルアップに繋がった。

井上裕太郎

 

 

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今回の宮崎刑務所の見学で疑問に感じていたことの解決や、新しく知ったことなどがいくつもあり非常に貴重な体験となった。
テレビや話などであらかたの理解や想像はしていたが、やはり実際に訪れて目で確認するとイメージと異なっていて違いを認識することができた。

川本耀士

 

 

 

以上、宮崎刑務所見学のご報告でした。

 

臨床福祉学科 西田美香

ボランティア活動

2017年7月31日

こんにちは。臨床福祉学科専攻の貫です。


今回は、7月15日に開催された特別養護老人ホーム「千寿園」の納涼祭にボランティアで参加した学生の様子をお伝えします。参加学生は、1年生から4年生まで総勢16名が参加しました。ボランティア活動の主な内容は、利用者のお世話(移動介助、コミュニケーション)、お祭りの進行補助、模擬店の手伝いなどでした。1年生は、福祉士施設でのボランティアはほとんどが初めてで戸惑いながらも一生懸命、先輩たちの姿を見ながら利用者と関わっていたようです。


 

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納涼祭の様子


 

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模擬店の手伝い(ヨーヨー釣り)

 

 

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模擬店販売の手伝い


 

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ばんば踊りに参加

 

ここで1年生の感想を一部、記述させていただきます。

・はじめてのボランティア活動で、利用者と触れ合ったがコミュニケーションがうまく図れなかった。そんな時、施設の職員や4年生の先輩が利用者と上手にコミュニケーションを図っている姿をみて自分も早くあんなふうになりたいと思った。

・様々な利用者と接して、どのように関われば良いのか全然、わからなかった。もっと認知症のことや介護の方法について勉強していればよかったと後悔した。今回のボランティア活動に参加して介護福祉士の事をもっといっぱい知りたいと思った。 そしてたくさんのボランティアに参加していろいろな人と話をしてみたい。

・施設のボランティアに行かせてもらい、皆より一足先に実習の現場を体感してきた。元々、祖父母との交流もあり高齢者のお世話や話をすることはできるだろうと思っていた。しかし想像と現実は違い、

様々な障害のある利用者との会話はとても難しかった。これから4年間、資格を目指すがこんなに不安になるのだからやはり「資格」は大切だと思った。


大学入学時、多くの学生は介護福祉士のイメージについてネガティブな印象が多く、進路についてもかなり迷っていました。しかし半年近く専門的な講義を受けたり、先輩からの話を聞いたり福祉ボランティアに参加したりすることで介護福祉士のイメージは大きくかわり、その役割を理解することで将来の目指す道が明確になりつつあります。


今後も様々なボランティアへの参加を促し、学生自身が自分の五感を通して福祉に触れ、まずは興味を持ってもらえるように関わって行きたいと考えています。

文責 貫

宿泊研修

2017年7月26日

山崎きよ子

少し前になりますが、5月に専門ゼミ生3年4名、4年8名と秋葉先生、私の14名で木城町の石井記念友愛社で宿泊研修をしてきました。

石井というのは石井十次のことで 約100年前に亡くなった児童福祉の父と呼ばれる人です。彼は生涯3000人の親、家族に恵まれない子どもを引き取り育て上げました。戦後 石井十次のお孫さんが事業を再興されました。戦後だけでも70年、通算すると100年ほど経過した児童養護施設です。今はお孫さんの次男にあたられる児島草次郎先生が理事長をしておられます。

木城町にある友愛社には石井十次が息を引き取った部屋のある静養館や、十次の親友倉敷紡績(当時)の社長の大原孫三郎が十次の墓参りのために建てた大原館や、岡山時代からの建物である箱舟館など100年以上の年月を経た建築群があります。

また草次郎先生は十次の時代からの宿舎を再現され、そこには五右衛門風呂、かまど、昔のタイルの流し、囲炉裏のある板敷の間、ポンプ式の井戸もあります。

本当は文化財として非常に貴重なものであり本来ならそこに泊まったりすることは考えられないのですが、その時代を想像すること、触れて感じることを大切にされる草次郎先生のご配慮で私たちはそれらを思う存分使用し、宿泊させていただいています。

私たちは 井戸で野菜を洗い、(この野菜も友愛社で作られたもので差し入れを頂いたものですが)、かまどで調理し、おいしくいただきました。

お米もかまどで炊きましたが 文字通り羽釜炊きのごはんはおいしくみんな大感激でした。

囲炉裏の周りで食事をし、お菓子を食べいろいろな話をしました。この日は草次郎先生も飛び入り参加してくださいました。また今年九州保健福祉大学を卒業し、川南社会福祉協議会に見事就職を果たしたY君と、宮崎の大きな病院の医療ソーシャルワーカーとして就職したK君がサプライズで来てくれ、大変楽しい夜を過ごすことが出来ました。

昨年はここでホタルを見ましたし、今年は星が大変きれいでした。

翌日は6時に起きてまたかまどごはんを炊き、味噌汁を作り朝からすごい食欲の学生にただただ感心するばかり。

9時からは友愛社の子どもたちも通う石井十次が当時創設したという茶臼原小学校でウォーキング大会が友愛社主催で開催され、私たちも参加させていただきました。約7キロほどの地域を歩きましたが、地域福祉は歩くことから始まることを実感しました。どんな作物が栽培され、住宅があり、人がどんな暮らしを営んできたかが分かります。

昔から農業地域の茶臼原はお茶畑が広がり、またサツマイモ、ジャガイモ他多くの野菜の産地です。加えて牛を飼っている農家もありこの地域のみなさんが農業を営み自然と共に生きていたことがわかりました。

ウォーキングの途中ではあめや飲み物、また到着後はお弁当の振る舞いもあり大変お世話になりました。

学生は思い出に残る2日間になったことと思います。

児嶋草次郎先生はじめ友愛社の皆様大変お世話になりました。

 

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昔ながらの井戸水ポンプを使っての調理



 

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ウォーキングの集合写真

平成29年度 卒業生講演会

2017年7月 9日

臨床福祉学科の日田です。

 昨年度より、私が担当している科目「キャリア教育」で、本学の卒業生から講演をしていただくというイベントを実施しています。

 今回が2回目となった講演会には、県内で有料老人ホーム、デイサービス、保育所を一体的に運営している、東洋介護福祉学科4期生、横山麻彌さん、


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大分市内でフィットネスクラブを運営している、スポーツ健康福祉学科6期生、新改友章さんにお越しいただきました。

 お二人とも普段から信念を持ってお仕事をされており、学生は終始お二人の話を熱心に聞き入っていました。違う分野で働かれているお二人ですが、利用者により良いケア、お客さんのニーズに応えるプログラムなど、利用する相手に対して精一杯良いものを提供するという姿勢は共通していたように思います。


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また、質疑応答の時間も学生からたくさんの質問が寄せられ、熱心に答えておられました。キャリアサポートセンターの猪股さんも飛び入りで参加して、学生時代のお二人の様子などを話してくださいました。

 学生にとって身近な卒業生が、やりがいを持って責任ある仕事に取り組む姿は、私が授業で伝えるよりもはるかに説得力があります。今年も大変有意義な講演会となりました。 臨床福祉学科 日田


 

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出張オープンキャンパスin福岡 !!

2017年7月 2日

 

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みなさん、全国的に梅雨ですが、

いかがお過ごしでしょうか。

宮崎は、大雨になったり、夏の日差しが出たり、

目まぐるしい感じです。

 

本学には、説明会や土曜見学会など、

大学を見るチャンスがあります。

そして、オープンキャンパスは7月と8月にありますが、

一昨年から、福岡で出張オープンキャンパスを始めました。

 

今年は6月16日でした。私も行きました。

会場では、各学科・専攻のブースがあり、

それぞれのイチオシが用意され、学科について説明したり、相談にのったりしました。

 

会場に響く「キュ~、キュ~♥」という声に惹かれて

高校生が集まってくれました。

声の主は「セラピーロボットのパロ」です。

パロはとにかくたくさん撫でてもらって、抱いてもらって

目を閉じたり、両足を動かしたり…。

 

そのほかにも、ちゃんと見ているはずなのに

騙されてしまう「人のものの見方」を

確認してもらいました。

「絶対、騙されない!」というあなた!

ぜひ、挑戦しに来てください!

 

本学でのオープンキャンパスは7月22・23日です。

パロと学生たちと一緒に皆さんをお待ちしています。

 

文責:田中陽子

介護福祉実習指導者会議

2017年6月29日

介護コースの清水です。こんにちは。

6月23日(金)に介護福祉実習指導者会議を本学で行いました。

 

 2年生から始まる介護福祉士になるための介護実習を受け入れてくださっている施設の実習指導者と教員、学生が集まり、昨年度の実習報告や今年度の実習のお願い、意見交換などをしていく場として毎年実施しています。

 

 今年度も4年生は昨年度の第3段階介護実習の報告をしました。


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次に、3年生は昨年度の第1段階、第2段階の介護実習の報告をしました。


 

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3・4年生はとても緊張していましたが、一生懸命準備をし、発表に臨みました。

 良い体験になり、また一つ成長できたのではないかと思います。

 

 2年生はこれから初めての実習に臨みます。先輩の話をメモをとりながら後ろで聞いていました。


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実習指導者の皆様、ご参加いただき誠にありがとうございました。

 今後ともご指導よろしくお願いいたします。

沖田ダムの森の中を歩きながら(5)

2017年6月25日

季節は梅雨入りしたものの雨の少ない毎日です。沖田ダムの小道も,春先の鳥たちのさえずりもちょっと静かになり,もうしばらくしたらセミなどがうるさくなってきます。1周約8㎞のコースの中で,ほっとする景色がこの写真です。起伏のある坂を登り,わずかに右に曲がった所に広がる山並みと湖面のコントラストが好きな場所の一つです。

 

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さて,深町純という音楽家との出会いは,その音楽よりもデビュー時のエピソードや音楽性に関する活字情報の方が早かった記憶があります。東京芸大を卒業を目前にして退学した話や初期の編曲がイギリスのポール・バックマスターを模倣しているといった非難めいた文章を読んだ記憶があります。

芸術の才能と大学卒という資格の相関関係の有無は難しいものがありそうです。芸術大学を出たからといって傑作を生み出せる訳もなさそうだし,一方では芸術大学に行くことで眠っていた才能が目覚めることもありそうだし...。

もう一つの音楽性に関しては,確かにポール・バックマスターの影響を受けていることは否定できないように思います。それは一口で言うと,チェロやコントラバスなどの低音の弦楽器を多用していることです。ポール・バックマスターは初期のエルトン・ジョンの編曲を担当しており,その特徴は低音楽器を使ったクラシカルな味わいにあります。エルトン・ジョンのバックを担当した作品があります。しかしながら,彼が編曲した作品の中で最も耳にする楽曲としては,ニルソンが歌った「ウィズアウト・ユー」だろうと思います。ちなみにこの曲はバッド・フィンガーというグループの作品をニルソンがカバーしたものです。両者を聞き比べると編曲の面白さも理解できると思います。

深町純の初期の音楽活動のうち,編曲に関しては上に記したようにポール・バックマスターのように弦楽器を多用しています。私のお薦めは井上陽水の2枚目のアルバム所収の「夜のバス」やアリスの「明日への讃歌」,そして後藤明の「春・夏・秋・冬」の3曲です。これらに共通しているのは,低音の弦楽器が躍動していることです。編曲を「歌い手を引き立てる」と定義すると,彼のアレンジは原曲を引き立てるどころか,歌手と堂々と渡り合っているというか,歌そのものよりもバックの伴奏に耳が行ってしまいそうなところがあります。まるで,歌手と同じように自己主張しているようにも聞こえます。それだけに聴き応えはありますが,制作者サイドからすると,依頼しづらくなるような面もあるのではないかと推測してしまいます。

その後の深町純はフュージョンと呼ばれる分野に活路を見出しますが,この分野については詳しくなく,また興味関心もあまりないので遠くから眺めているだけでした。ところが,数年前,彼が日本の唱歌等を出しているのをCD雑誌で見つけて,どのような編曲で聞かせてくれるかという興味が起こり購入しました。その時点では,深町純がオーケストラに編曲した唱歌集かなと思っていたのですが,聴いて驚きました。深町純のピアノソロによる演奏ですが,まさに彼ならではの自己主張の強い作品です。「抒情歌集」のレコードやCDは持っている方ですが,それらに共通するのは一緒に歌える,BGMとしても聴くことができるといった心を和ませる点だと思います。しかし,深町純の演奏は,装飾音を多用し,リズムも一定ではなく,魂を揺さぶるような演奏です。BGMどころか聴き入ってしまう演奏です。「Hert of the Country~心の抒情歌集」と銘打たれたこのCDには,赤とんぼ,故郷,浜辺の歌,早春賦,朧月夜,旅愁,故郷の廃家,冬景色,花,卒業式の定番だった仰げば尊し・蛍の光など18曲が収められています。彼は「中島みゆき作品集」も発表していますが,これも元歌に負けない骨のある作品です。CDの帯に「情念の天才ピアニスト深町純が底知れない知性とその狂気にも似た才能によって紡ぎ出す中島みゆきの世界」という表現がありますが,まさに言い得て妙だと思います。

低音の弦楽器を中心としたオーケストラ・アレンジで自己主張した深町純は,最後は自らのピアノ1台で自己主張して逝ってしまったのかも知れません。

今回のこのブログで紹介した楽曲のうち,アリスの「明日への讃歌」はメンバーの矢沢透編曲のものもあります。また,後藤明の「春・夏・秋・冬」は「TBS水曜劇場の時間ですよ」という2枚組に収録されています。このCDは『時間ですよ』や『寺内貫太郎一家』などの番組で使用された音楽を集めたもので,変化に富んだ収録曲でお買い得です。ポール・バックマスターについては,エルトン・ジョンの『マッド・マン』がお薦めです。井上陽水の「夜のバス」は『陽水Ⅱ センチメンタル』に収められています。最後に,ニルソンの「ウィズアウト・ユー」は70年代の洋楽を集めたCDなどに収められています。

臨床福祉学科 長友道彦 でした。