2010年10月

福祉観光に寄せられる期待

2010年10月15日

福祉ビジネス専攻の学生が受講できる『高齢者・障がい者と観光』という専門科目で、ユニバーサル デザインツアー(誰にとっても参加しやすい観光旅行) に取り組んでいる旅行業者『旅のよろこび株式会社』(熊本市)の代表取締役 宮川先生を 外部講師として招き、仕事の内容や旅行の様子について 話を聞きました。

宮川さんは、もともと旅行会社に勤務しておりましたが、当時の障がいを持たれた方の旅行の添乗経験と 旅行を終えたお客さまの感謝の言葉から、この仕事にひかれ、平成18年に同社を設立しました。はじめは、なかなか認知されなかったようですが、最近ようやく口コミで人気が出はじめた とのことでした。

 講義では 宮川さんのこれまでの業務の経験をお話くださいました。どの話も大変新鮮で、学生ともども聞き入ってしまい、あっという間の90分でした。

 大変印象的だったのは、「ハワイの海を見たお客様が涙を流して喜ばれた。景色を見て涙を流すことなど あまりないですよね。」という言葉です。これまで涙を流すほどの景色を見たことがありますか?その涙には「景色がきれい」というだけでなく、「この景色を見に来ることができた」という喜びのほうが大きいような気がします。

 

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国土交通省総合政策局「観光のユニバーサルデザイン化 手引き集」の表紙より

高齢の方や障がいを持たれている方は、旅行することに半ば“あきらめ”があるのかもしれません。テレビや雑誌、旅行のチラシをみても「行ってみたいがムリだろうな」という気持ちが先行しているのではないでしょうか。実際、私がおこなった高齢者へのヒアリング調査でも「若いころは旅行が好きで、婦人会の旅行には必ず参加していたけれど、年を取ってからは、ほかの参加者に迷惑をかけるから行けない」という話をよく聞きます。

宮川さん達のような取り組みが、これからますます増えてくれば、きっとすべての人があきらめることなく旅行を楽しめる時代が来るはずです。

福祉ビジネス専攻で学び、卒業した学生諸君が、旅行を企画する立場と旅行をあきらめかけた当事者の方を支える立場の双方から、ユニバーサルデザインツアーを先導する人材になってもらえることを願っています。

臨床福祉学科 福祉ビジネス専攻

三宮 基裕