トイレの花子さん7

2015年4月15日

新年度が始まりました。

 今回の花です。

 

 

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4月13日(月),宮崎県赤十字血液センターから移動採血車が本学に来ました。私も,前回に続いて献血しました。採血されながら,「売血」という言葉を思い出しました。僕が高校時代の先生の中のどなたからか聞いたのか,昭和20年代から30年代を描いた小説か何かに書いてあったのか,はっきりしませんが,売血という悲しい響きを持った言葉がありました。現在は,「献血」制度ですが,売血は戦前からあったようです。この売血に関して,『昭和萬葉集』に次のような2首を見つけました。

 

寒(さむ)ざむと飢(う)ゆる子ら見れば術(すべ)なけむ血を売りて友の頬はこけたり  (術=手段・方法…引用者)

 佐藤彰矩「短歌精神」(昭和10年11月) 『昭和萬葉集 巻3 39頁』

 

飢えている子どもたちのために,他にお金を得る手段もなく,血を売ってどれだけのお金が得られたかわからないけれども,そうせざるを得なかった親の辛さ,悲しさが伝わって来ます。

 

血を売らん人等相寄る病室の窓に明るき陽かげ動かず

 中村静子「ポトナム」(昭和16年4月) 『昭和萬葉集 巻5 241頁』

 

血を売ってしか収入を得ることのできない人たちが少なからずいたことを伝える作品です。

 

本学の学生や職員の協力者の姿もありました。事前のアンケートや問診もあり,徹底した管理の下で行われています。せっかく献血しようとやってきたのに,前夜の睡眠時間が短いために断念せざるを得ない学生もいました。センターの方々の話だと,本県は血液量が少ないとのことでありましたので,献血の輪がもっと広がって行けばと感じました。なお,献血後は通常は歯磨きとかジュースなどの飲み物が提供されますが,前回同様「延岡ライオンズクラブ」からパンとバナナ,そして卵のサービスもありました。

 

貧しさ故に,髪を売るということもあったようです。カツラなどの為でしょう。


 髪売りて米を買ふとふあはれさの今の世にありと新聞は報ず  (買ふとふ=買うという…引用者)

 大友虹路 「国民文学」(昭和6年3月) 『昭和萬葉集 巻2 154頁』

 

生活のために,恐らくは自慢の長い黒髪を売って,お米を買うという,辛く悲しい内容です。

 

この短歌を読んで,思い出した作品があります。アメリカの短編の名手オー.ヘンリーの「賢者の贈り物」というのがあります。金時計を大事にしている夫と長く美しい髪を持つ妻の心温まる話です。有名な作品ですので,まだ読んでおられない方には,是非一読を勧めます。

 (文責 長友道彦)

 

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