2019年6月

坂本冬美さんのこと

2019年6月24日

これまで何人かの編曲者について書いてきました。編曲の仕事は,元となる曲があって,歌い手をいかに引き立てるかが力量の見せ所とも言えると思います。オリジナルや持ち歌は自分の歌ですから問題はないでしょうが,他人の歌だと難しいことになりそうです。ジャンル分けすれば演歌歌手になるかもしれませんが,坂本冬美さんが『Love Songs』というCDのシリーズを発表しています。いわゆる他人の歌をカバーした作品集です。大ヒット曲からマイナーな作品,歌謡曲からフォークなど多彩な選曲です。坂本冬美さんという歌手については,大晦日の『紅白歌合戦』で歌う曲を聞いて,上手い歌手だなぁという程度の認識しかありませんでした。数年前のある日,レンタルCD屋さんでCDを眺めていたら,ヒット曲を網羅している『Love Songs』が目につきました。手に取ってみると,担当している編曲者が若草恵・萩田光雄・船山基紀という3人の名手だったので,借りて聴いてみました。結果は,期待を裏切らない出来でしたので,他のCDも借りて聴き,最終的には購入してしまいました。

さて,その中で編曲を味わうという観点からお薦めしたいのが,ちあきなおみさんが歌った「喝采」(写真左)とBOROさんの「大阪で生まれた女」(写真右)です。

 

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「喝采」はちあきさんの歌唱で人口に膾炙した作品だけに編曲も難しかったろうと思いますが,若草恵さんのアレンジはゴスペル風の合唱を配して,ちあき盤とは違う新たな生命がこの曲に宿ったように思います。まったく表舞台から姿を消してしまったちあきさんの「喝采」も素晴らしいですが,坂本さんの作品もお気に入りです。

萩田光雄さんが編曲した「大阪~」は一聴して,啞然,愕然,呆然。「え~,こんな編曲あり!?」と思いました。クラシック(バロック)の旋律が流れ出したのです。まるで,BOROさんはこの曲を下敷きにして作品を書いたのではないかと思うくらい,ピッタリとはまった,違和感のないできでした。バロックの作品名は末尾に記します。

ちなみに,3人の編曲者の作品で私が好きな曲を挙げるとすれば,若草恵さんは研ナオコさんが中島みゆきさんの作品を歌った「かもめはかもめ」,船山基紀さんは五輪真弓さんの「時の流れに~鳥になれ~」です。萩田光雄さんはヒット曲がありすぎて絞りきれませんが,久保田早紀さんの「異邦人」は印象に残っています。

 

さて,教員免許取得希望の学生たちは5月から中学校や高校で教育実習に行っていますが,まもなく多くの実習が終わり大学に戻って来ています。7月31日には実習報告会を予定しております。実習を通して,一回り成長した姿を見せてくれるのではないかと期待しております。

臨床福祉学科 長友でした。

バロック作品名 「パッフェルベルのカノン」