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研究プロジェクト

健康と生活機能向上のための支援システム及び訓練技術開発プロジェクト

保健科学研究所プロジェクト研究の概要

研究テーマ: 生活習慣病における血管内皮細胞表面上のC1qRpレセプター分子の動態

(池脇信直)
血管内皮細胞は、血液中の物質交換や細胞間情報伝達に密接に関わることで、生体の内部環境を支えている。血管内皮細胞表面にはさまざまな機能的分子(レセプター)群が存在しているが、その中のC1qRp分子は動脈硬化に関わる接着レセプターで、我々が世界で初めて同定した分子である。本研究は、血管内皮細胞表面上のC1qRp分子の動態が、動脈硬化に伴って発症する高血圧、脳血管障害、心疾患、肥満症などの生活習慣病にどのように関連するのか検討することを目的とする。

研究テーマ: QOL向上を目指した運動プログラムの開発

(樋口博之)
 これまでの研究から、有酸素系の運動は高血圧、糖尿病、高脂血症、肥満の予防と治療に有用であることが報告されている。運動の強度、頻度、時間についても検討されているが、運動習慣の獲得は困難である。その理由として、施設や指導者が十分でないこと、運動に対する価値観が低いことがあげられる。生活習慣病の治療を目的とした場合、運動による効果は薬治療よりも時間がかかる。一方、QOL向上を目的とした運動プログラムを検討する際、QOLの評価法が十分に確立されていないため、生理学(身体)的な効果があったとしてもQOL向上につながらない可能性がある。本プロジェクトでは、QOLを評価するための客観的手法および運動習慣の獲得に対する阻害要因を検討し、地域健康づくりに有用な運動プログラムを開発する。

研究テーマ: 要介護高齢者における摂食・嚥下障害リスクアセスメント法の開発

(三浦宏子)
 高齢期の摂食・嚥下障害は栄養状態のみならず様々な全身症状・疾病の発現に大きく関与している。しかし、要介護高齢者における摂食・嚥下障害の状況とそのケアについては十分に把握・検討されているとはいえない。そこで、我々は、摂食・嚥下機能を簡便に評価でき、十分な信頼性を有する質問紙を用いたアセスメント法(摂食・嚥下ケアアセスメント評価表)を考案し、試用した。
 この摂食・嚥下ケアアセスメント評価表は、対象者本人の自己評価(質問紙A)だけでなく、その介護者による他者評価(質問紙B)を併せて行う点が、従来法にない特色である。そのため、痴呆高齢者に対しても応用できる利点を有する。クロンバックα係数は、要介護高齢者本人による評価では0.86、その介護者による評価では0.73であり、両者とも十分な信頼性を有していた。また、質問紙AとBの共通項目が12項目あることより、本人と介護者の判断の違いを知ることが可能であると同時に、重度の痴呆の場合など、本人の回答の信憑性に疑問が生じる場合でも、介護者の評価を加味することにより、より妥当性の高い判断を行うことができる。

研究テーマ: 言語聴覚機能に関する各種正常値、標準値の収集

(山田弘幸)
 言語聴覚療法は対象者のQOL向上を目指して実施されるが、その際のQOLの定義は明確ではない。したがって、QOLとの関連から検討する際の言語聴覚機能の評価方法、同様な訓練・治療等の効果の評価方法、言語聴覚療法との関連から検討する際のQOLの定義や評価方法等の整備が急務であるが、その実現のためには、まず、言語聴覚機能に関する各種の正常値、標準値の収集が必要である。そこで、「タッチパネル式絵ポインティング課題実施ユニットの開発」および「言語聴覚機能の発達に関する養育者用簡易質問紙の開発」というプロセスを通じて、各種の言語聴覚機能に関する正常値、標準値の収集等を試みる。
絵ポインティング課題については、一定条件下で絵ポインティング課題の成立要件を検討するため、ノートパソコン+タッチパネルディスプレイという検査ユニットを用い、課題語彙、選択肢数、絵の抽象度等、正誤フィードバックの有無や方法、試行数などについて検討する。質問紙については、単に「はい」「いいえ」で答える質問文の羅列ではなく、たとえば、まず具体例を通して質問の意図を理解してから答えるような形式など、簡便で妥当性、信頼性の高い質問紙開発へ向けて、聴覚反応、簡単なことばの理解、始語年齢、初語、語彙、語彙数等の項目についての検討を行う。

研究テーマ: 聴覚障害児の日常生活場面におけるコミュニケーション機能評価に関する研究

(倉内紀子)
新生児聴覚スクリーニングの導入に伴い、乳幼児期早期での難聴の発見が増加している。発見後の母子支援を基盤としたリハビリテーションプログラムの構築は、対象児および家族のQOL向上にとって重要な課題である。乳幼児期の母子支援にあたっては、家庭での日常生活場面における母子コミュニケーション関係や、対象児のコミュニケーション機能の発達過程をふまえた個別プログラムの立案が求められる。そこで、今回は、聴覚障害児の日常生活場面におけるコミュニケーション機能評価の方法について基礎的検討を行うことを目的とする。

研究テーマ: 視能障害による日常視生活の不自由度とその評価

(深井小久子)
高度情報社会では、眼からの情報は欠くべからざるものであり、高齢者の視能健康管理は、中年ごろから積極的に取り組む体制が必要である。中・高齢者に見られる視能のトラブルには調節力の低下(視覚入力系)、生活習慣病や原因疾患が脳内にある視能障害(視覚入力系・統合系・出力系)、脳・神経疾患による二次的な機能障害(視覚統合・出力系)、外眼筋の機能的低下(視覚出力系)などがある。これらの障害によって視力の低下・視野障害、両眼視異常、眼位異常、両眼の眼球運動障害などがおこり、階段の昇降ができない(85%)、段差がわからない・物にぶつかる(85〜80%)、動くものに焦点が合わない、距離感がない(85〜75%)、ボタンかけ・包丁が使えない(60〜40%)などの日常視生活での不自由度が増しQOLの低下を生じさせる。第三者には共有できない見え方、“ずれる”“ゆがむ”“ダブル”“すすける”などの視能の質的低下を分析し、行き場のない視能障害にしないでしかも個々のQOLを向上・維持するための評価法を考案する。