QOL研究機構とその取り組み(1) 保健科学研究所

〜大学おうえん協議会だよりから〜

九州保健福祉大学に昨年度設置された「QOL研究機構」で本格的な取り組みが始まっています。「QOL研究機構」は三つの研究所から構成されていますが、今回は保健科学研究所の取り組みについて、所長である福本安甫保健科学部長にお話を伺いました。

QOL(クオリティ・オブ・ライフ)研究機構と保健科学研究所について教えて下さい。

九州保健福祉大学のQOL研究機構は、優れた研究活動に対して選ばれる文部科学省のオープンリサーチセンター整備事業に採択され、昨年度から活動をスタートさせました。
「クオリティ・オブ・ライフ」というのは、その名が示す通り、生活の質をいかに向上させていくのかを考えていくものです。
生活の質と言ってもわかりにくいかもしれませんが、例えば体が不自由で、他人の助けを借りないと日常生活を送ることが困難な人がいるとします。
でも、そういった方々が少しでも自分で自分の事を出来るようになればきっとうれしいだろうと思います。
「今日は何もできなくても、明日は服のボタンをはめたりはずしたり出来るようにする」、それだけでも、その方は日々の生活を豊かに送れるようになる、と考えています。
保健科学研究所は、大学の保健科学部を母体とする研究組織としてQOL研究機構の傘下に設立され、現在、四つのプロジェクト研究に取り組んでいます。

保健科学研究所で実施している研究活動について教えてください。

保健科学研究所では、「健康と生活機能向上のための支援システム及び訓練技術開発」というテーマで研究活動を実施しています。何やら難しい話のようですが、簡単に言うと、先程の例のように身体の動きやことば、視覚といった様々な機能に障害のある人が、少しでも日常生活を向上できるように支援していくことです。
研究活動の一例を紹介すると、成人病の予防や治療には適度の運動が必要なことはよく知られていますが、実際にどのような運動を行なえばいいのか。やはりそれに適した運動というのがあって、きちんとしたプログラムをつくる必要があります。プログラムを作成して、これを健康づくり運動として実践してもらう。地域の方々にとって、より効果的で、しかも長く続けられる「楽しめる」運動プログラムを考えていかなければならないわけで、今、こういったことに取り組んでいます。
また、別の研究では摂食・嚥下(えんげ)障害について取り組んでいます。年をとると食べたいものが食べられなくなりますが、このことは十分な栄養を行き渡らせなくするだけでなく、様々な病気の原因ともなっています。この摂食・嚥下障害のケアに関しては、これまで十分に研究されていませんでした。プロジェクトではどのようなケアを個別に実施すればよいかを、適切に判断するための科学的な評価を研究していきます。

研究活動を通じて、どのような問題を解決できるのでしょうか?

いろいろと保健科学研究所の研究活動をご紹介しましたが、QOL研究機構全体の取り組みは地域の様々な問題を解決するとともに、地域の方々が肉体的・精神的に健康で、よりよい生活を送られるよう、サポートすることにあります。保健科学研究所の活動はその一端を担うものですが、この延岡の地でも他人の支えが必要であったり、日常の生活を送っていくことが大変な方々がおられます。そうした方々をできるだけ多くサポートできるように、一生懸命研究に励んでいきたいと思います。

(平成17年8月1日,大学おうえん協議会だより 第18号 より、同協議会の許可を経て再録しました。)

==>保健科学研究所