2014年6月27日
6月7日、精神に障がいを抱える方々や本学学生など約20名が集まり、写真ワークショップを開催しました。発起人はNPO法人宮崎もやいの会代表理事 小林順一さんです。
小林さんはご子息が精神疾患を患ったことをきっかけに、精神に障がいを抱える方々が自分らしく暮らせる地域づくりをすすめています。特に、小林さんは写真家として活動されているので、その写真を通して、当事者の方々が地域で活動する場を提案されているのです。
精神に障がいを抱える方のなかには、街中を歩くとき、「見られている」という意識が働く方がおられます。しかし、カメラを持って撮影しようとすると、「視る」という意識が働き、「見られている」という感覚が薄れます。写真ワークショップはそんな「見られている感覚」を軽くしてくれる効果もあります。
今回のワークショップでも、皆さんとてもリラックスして楽しく街を散策することができました。また、地域の方々も「たくさん写真を撮ってくださいね」と優しく声をかけてくださいました。
このような地域での些細な交流が障がいを抱える方々の力になっていきます。
小林さんは、「写真は主体の回復を促す」と言います。被写体として何を選択するのか、どのように撮影するのか、撮影者自身が選択し写真を撮っているのです。
これまでの精神に障がいを抱える人々の歴史を振り返ると、自分の意見を主張できなかったり、様々な理由により自分の望む生活が実現しないという状況がありました。自分は何が好きなのか、何をやりたいのか、どのような人生を歩みたいのか、人生の主人公として主体的に生きる力を写真ワークショップは培っているのです。
参加した学生の感想①(抜粋)
「写真を撮り終わり、最後にみんなで写真を見た際に、同じ道を通っていたにも関わらず、同じ写真が一枚もありませんでした。(中略)撮っているものも、花が多い人、建物が多い人、人が多い人など、それぞれの価値観や好きなものが写真にはよく表れているなと感じました。これから精神保健福祉士や社会福祉士になる上で、この「視点の違い」は大事にしていきたいと思いました。他職種・他機関との連携、クライエントとの関わりの中で、自分の視点や価値観だけが正しいと思うのではなく、一人ひとりの様々な視点や価値観からクライエントの最善の利益を追求することが大切なのではないかと思います」
参加した学生の感想②(抜粋)
「当事者の皆様と一緒に写真撮影に参加させて頂いて、まずは本当に楽しかった。普段は通らない道をゆっくりと歩くことで、とても気持ちがよかったし、こんなのあったんだという発見がいくつもあって面白かった。
写真は、興味をひかれたものを撮影するので、この方はこれに興味があるんだな、好きなんだろうなと初めてお会いしたばかりの方だけど少しだけその方の理解に繋がった。(中略)お話をするときも、撮影したものが話のきっかけになって、話題を振るのが苦手な自分はとても助かった。しかし、撮影に夢中になりすぎて一度もお話できなかった方もいたので、もっと周りを見て、色々な方とお話をする機会を持てたらよかったなとすごく感じた」
参加した学生の感想③(抜粋)
「写真を撮っているなかで自然と当事者の方々と話ができたので、何かを一緒に行うということはお互いのことを知ることのできる素晴らしいことだと思った。(中略)一人ずつの写真を見ていった際には、興味を引くものが一人ひとり全然違うということをとても実感した。その人の撮った写真を見ることにより、多くの言葉を使わずともその人の特徴が見えてくるので、写真にはその人の感性を代弁する力があるのだなと感じた」
以上、写真ワークショップのレポートでした。
今回、この企画を提案してくださった小林様をはじめ、ワークショップにご参加くださった当事者の皆様、相談室「とびら」のスタッフの方々、地域活動支援センター「みなと」のスタッフの方々、大瀬作業所施設長日高様、その他、ご参加くださった皆様、この度は学生に多くの学びをありがとうございました。今後とも、どうぞ、よろしくお願いいたします。
臨床福祉学科 西田美香
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