2014年6月 5日

精神保健福祉士になろう パート③~アルコール健康障害対策基本法推進の集いin東京に参加してきました~

2014年6月 5日

皆さん、こんにちは。私は5月25日に東京のサンパール荒川で開催された「アルコール健康障害対策基本法推進の集いin東京」に参加してきました。今回はその模様をレポートします!

 

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昨年12月7日に成立したアルコール健康障害対策基本法がいよいよ6月1日から施行されます。法の施行を目前に、この法律を包括的かつ最大限に活用してアルコール健康障害を低減するための国の基本計画作りを推進するために、当事者の皆さん、医療関係者、支援団体の皆さん、関係省庁の方々、アルコール問題議員連盟の方々、総勢1150名もの方々が集いました。アルコールが関与する問題はとても多岐にわたっているからです。

 

 皆さん、アルコール健康障害と聞いて何を思い浮かべますか?

アルコールは身体の健康を害するだけでなく、アルコール依存症、飲酒運転、若年者や女性の飲酒による問題、イッキ飲ませ被害、自殺、DV、虐待など大変幅広く、また、根深い問題をもたらすのです。

 

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以上がこの法律の目的です。アルコール健康障害を防ぐとともに、アルコール健康障害を抱える人々への支援の充実、そして、国民の健康をも視野に入れた法律です。

 

猪野亜朗先生の基調講演 「アルコール健康障害対策基本法がめざす社会」と題して、お話くださいました。優しい語り口調と信念を貫かれるという力強さが印象的でした。

 

今回の集いの主な内容は①本法律成立の発起人である猪野亜朗先生による基調講演、②リカバリー・パレードコーラス隊&ドライドランカーズによるコーラス、③当事者の方々の体験発表、④関係省庁における現状報告と質疑応答、⑤基本法推進宣言でした。

 

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今回の集いには47都道府県から目標であった1000人を大きく上回る1150名の方々が参加されました。写真は宮崎県から参加した大悟病院院長 内田恒久先生(写真左)、全日本断酒連盟理事 米崎邦雄さん(写真右)、私、西田美香(写真中央)です。

 

 私は本学において精神保健福祉士を養成しております。そして、大学における学生教育とともにアルコール依存症の研究を行っています。この研究がきっかけとなり、集いに参加することになりました。

常々、学生には「様々な法律の背景には何らかの理由で自分らしく生活することが困難な人が存在すること、そして、全ての人々が自分らしい生活を送ることができるように法律はあるのだ」と話をしてきました。そして、精神保健祉士という専門職として、その生活上の困難を抱える人たちの声をしっかりと聴き、人々が抱える痛みを忘れてはならないと学生に伝えています。 

 

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久々にお会いした京都府断酒連合会の阿部孝義さん(写真右)。

阿部さんはかつて未熟な私にアルコール依存症に関する様々な情報を丁寧に教えてくださいました。自ら歩んでこられた道程を多くの人の回復に役立てたいという強い思いが伝わってきました。再会できてとても嬉しかったです。

 

今回の集いでは、当事者の方々が今現在も抱えている苦悩を話してくださいました。アルコール依存症当事者のみならず、そのご家族が遭遇した修羅場、「夫が暴れる姿を、ともに暮らす子どもたちはどんな気持ちで見てきたのかと思うと胸の張り裂ける思い」と語られました。また、飲酒運転による事故で大切な幼いわが子を失ったご夫婦は、「元気でいてくれたら、今は大学生になっていただろう。どんな大学生になっていたのだろう」と声をつまらせながら語られました。

大学のサークルでのイッキ飲ませによって大切なご子息を失ったお母様は、「その時息子に何が起こったのか」をお辛い気持ちをおして、涙ながらに語ってくださいました。異常な雰囲気の中での、なかば強制的な過度の飲酒、その結果理不尽に失われた尊い命。そのことに対する口惜しさ、虚しさ、悲しさ。

会場には、当事者、医療従事者、関係省庁(内閣府、法務省、財務省、文部科学省、厚生労働省、警察庁)、酒造組合の方が集っていましたが、様々な立場にある参加者が一人の人間として、このアルコールに関する問題の深刻さ、悲惨さを痛感し、深い悲しみを感じたと思います。

 

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関係省庁の方々への質疑応答 

司会者は日本で初めてアルコール問題に取り組んだ久里浜医療センターの院長樋口進先生と、アルコール薬物問題全国市民協会代表の今成知美氏 

関係省庁においては国税庁課税部酒税課からの参加もあり、不適切な飲酒を防ぐという目標に向かってあらゆる立場の人々が力を合わせていることを実感しました。

  

集いに参加して、アルコールの問題を社会全体で考え、取り組むためこの法律をどのように形作っていくのかはこれからなのだと感じました。

集い開催の立役者である、アルコール薬物問題全国市民協会代表の今成知美氏は、「本法律成立により、これまで縦割りであった関係省庁がそれぞれの部署での話し合いを持ちこの場に参加してくださった。すでに連携は始まっている」と語られました。アルコールに関する問題に胸を痛め、多くの人の幸福のためにこれまで必死に活動なさってきた関係者の皆さんの並々ならぬご尽力の結果、晴れて本法律が成立したのだと感動するとともに、この大きな一歩が踏み出されたことにより、すでに国が変化を始めていることを実感しました。

 今現在、アルコール問題によって辛く悲しい人生を歩んでいる人々が一日でも早く回復の道を歩まれるように、また、これからアルコールによって誰一人として命を奪われないように、私も先輩方を見習い、できることを探し、勇気をもって一歩を踏み出そうと心に誓う機会となりました。

 

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最後に基本法推進宣言が参加者全員の合意で採択されました。 

アルコール健康障害対策基本法推進宣言(抜粋)

アルコールについての正しい知識の普及、依存症への偏見の是正。早期発見・早期介入を可能にする、職種や立場を越えた連携づくり。回復を応援する社会の実現、当事者と家族への支援の充実。不適切な飲酒がもたらす数々の悲劇を未然に防ぐ、予防のしくみ。

私たちは、今ここから対策推進への一歩を共に踏み出すことを、宣言します。

 

以上、アルコール健康障害対策基本法推進の集いin東京についてのレポートでした!

 

お忙しいなか、ブログ掲載についてご検討いただいた特定非営利活動法人ASK代表 今成知美様をはじめ関係者の皆様に深謝いたします。

臨床福祉学科 西田美香