2014年7月15日
今回は、延岡市で暮らしておられる当事者のお二人、小川さんと甲斐さんに精神疾患を患ったころの状況やその時のお気持ち、また、今現在の生活のご様子などを伺いました。
小川さんが精神疾患を発症したのは、20代前半のころでした。身体も心もへとへとに疲れ切って精神科病院に入院したのですが、そこはゆっくりと休める場ではなかったそうです。なんと、その当時の精神科病院は一つのフロアに50のベッドが並べてあり、その50人部屋で療養生活を送らなければならなかったそうです。同じ部屋に入院されている人たちの視線が気になり落ち着かない日々を送られたとのことでした。もちろん、現在の精神科病院は建替えが行われて、50人部屋という構造はほとんどありません。
これまで私たちは精神科病院の構造や治療の様子を学んできましたが、実際に入院した人の目線で精神科病院を知ることはありませんでした。とても不安な気持ちで入院され、どのような気持ちで療養生活を送られたのか、精神保健福祉士を目指す学生にとって、お二人のお話は大変貴重であり、また、援助者の卵として知っておかなければならないことでした。
小川さんは現在、障がいを抱える人たちを対象とする相談員として勤務されています。日々、身体障がい、知的障がい、精神障がいに関する幅広い相談があるそうです。また、大人だけでなく子どもに関する相談もあり、その都度、丁寧に対応されています。
小川さんは自分自身が精神障がいを体験されているので、相談をされる方の気持ちがよくわかると言います。また、相談者に、小川さんのように障がいを抱えながら仕事をするという「回復のモデル」を示すことにもなっているとのことです。相談者は、きっと小川さんに相談し安心されるとともに、障がいを抱えながらもしっかりと地域のなかで働くことができるという希望を見出すことができるのだろうと感じました。
甲斐さんは、学校を卒業後、他県で就職、結婚、出産を経験されました。家事と子育てに追われるなか体調を崩され、起き上がることもできなかったとのことでした。一番つらかったことは、体調が悪いために、朝、子どもたちを学校に送り だすことができなかったことだそうです。子どもたちの登校は毎日11時ごろ。子どもたちにちゃんと教育を受けさせたいと思うのですが、どうしても心と身体がついていかなかったそうです。そんな時、支えてくれたのが学校の先生でした。朝、子どもたちを迎えに来てくれて、助けてくれたそうです。
「色々な人に支えられてきました」と甲斐さんは語られました。改めて、人と人とのつながりの重要性を実感しました。
今回は、障がいを抱えながらも自分の人生をしっかりと歩んでこられたお二人の貴重なお話を伺いました。援助者に一番求められることは、その人らしい人生を伴走者としてともに築いていくために、患者さんの声をしっかり聴くことです。
甲斐さんが最後に「患者さんの話をよく聴いてください」と学生に語りかけてくださいました。説得力のある、重みのある言葉でした。
小川さん、甲斐さん、この度は本当に貴重なお話をありがとうございました!
臨床福祉学科 西田美香
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