トイレの花子さん(10) 沖田ダムのこと

2015年8月18日

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大学の南,直線距離にして約2㎞の場所に沖田ダムがあります。ダムの周囲は8.16㎞の周回コースになっており,水辺まで降りて行くこともでき,釣りをする人やゴムボートをダム湖に浮かべて楽しむ人たちもいます。夏場のこの季節は中央の公園に自然を活かしたプールも開設されて,親子連れなどの姿が見られます。

 私はこの周回コースが好きで,もう10年近く通っています。最初は,普通の自転車でダムまでこぎ登り,一周して帰るというパターンでした。この「自転車でこぎ登る」という運動のきつさは今でも思い出しますが,まさに「心臓がバクバク」という状態で,50歳代初めで久しぶりに感じた体力的なきつさでした。自転車で一周というパターンをしばらく続けていましたが,歩いたりジョギング(ランニング)している人たちもいるので,歩いてみることにしました。

 『となりのトトロ』ではありませんが,歩くのは大好きでした。自宅から愛宕山や城山,今山へ行ったり,五ヶ瀬川や大瀬川の堤防などを歩いていました。ダム湖の周辺を歩き始めると,今までとは違う楽しみに気づきました。木々の葉擦れの音や川の水音,鳥や昆虫の鳴き声,季節によって変化する光や木の葉の色や落葉。春夏秋冬の変化を楽しむことができるようになりました。実は,以前「欲しいなぁ」と思っていた物にヘッドフォン型のステレオがありました。「歩きながらでも音楽が聴けたらといいだろうな」という気持ちでした。しかし,今は欲しいとは思いません。季節に応じて変化する生き物の鳴き声やせせらぎの音,風の音を聞きながら散歩する喜びを大切にしたいと思うようになりました。散歩しながらイヤフォンを耳にしている人を見かけると,「せっかくの自然の音色があるのに,もったいない」と思うようになりました。

 週末に,歩いて一周することを3~4年続けました。その間,9月以降になるとランニングする人が増えてきます。綾マラソンや,青島太平洋マラソンなどに挑戦する人たちだろうと思います。そこで,私もランニングに挑戦することにしました。歩くことの好きな私でしたが,歩くことと走ることではこんなにもきつさが違うのかを思い知らされました。周回コースには反時計回りに500㍍ごとに標識が設置してあります。まずは,500㍍を走りましたが,息が切れました。少しずつ,少しずつ慣らしてゆき,何とか走りきることができるようになりました。現在は,年齢のことも考え,無理をしないように走ったり歩いたりしています。

 さて,このように沖田ダムに通うようになると,珍しい光景に出逢うことがあります。まずは,猪の子どもたちのうりぼうを見かけました。3匹ほどのうりぼうが私の前を歩いていたのですが,私に気づき,山側へ逃げて行きました。

 もう一つは不思議なガマガエルです。周回コースは,反時計回りに歩くと,右手が山,左手がダムの湖水側になります。私が歩いていると前方の左手のガードレールの下にガマガエルがたたずんでいました。「どうするのかな」と思いながら,その横を通り過ぎたあと,振り返って見るとガマさんの姿はそこにはありませんでした。ガードレールの下は,2㍍ほどの崖です。私は歩きながら,「ガマガエルは誤って落ちてしまった事故なのか,それとも覚悟の自死なのか」と考えながら歩き続けました。

 

このように沖田ダムを愛している私は,少なくともダムを汚したりすることはありません。しかし,中には心ない人がいて,弁当くずやペットボトルなどが投げ捨てられています。その一方で,そうしたゴミを集めて片付けたり,大雨の後の土砂や側溝にたまった枯れ葉などを取り除いてくれている奇特な方もおられることを紹介して今回は終わります。

臨床福祉学科 長友道彦

 

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