2021年2月24日
教員という仕事は,児童・生徒・学生の名前を一致して覚えることが生徒理解の第一歩だと思います。高校の教員だった頃,新学期はじめには,実力テスト(あるいは課題テスト)が実施されます。テスト監督割り当てが作成されるのですが,私は入れ替えてもらったりして,自分の担任クラスを集中的に監督しました。早く名前と顔を覚えるためです。番号順に着席していますので,監督しながら名前と顔を見ながら覚えていったことを思い出します。
最近は,顔と名前を一致して覚えることが苦手になってきました。特にコロナ禍でもあり,学生たちの顔が三分の一しか見えない状態ですので,ますます難しくなってきました。
さて,一度覚えた名前は記憶の底に残るであろうという話です。娘夫婦と男女1人ずつの孫と一緒に住むようになって2年が経とうとしています。変化の一つにテレビの幼児番組を見る機会が増えたことがあります。その中に,NHKの教育番組「ピタゴラスイッチ」があります。本当によく工夫された装置を作ってビー玉を転がしたり,世の中の不思議な仕組みを紹介したりしています。例えば,スーパーで見かける袋入りのピーマンはどうやって袋詰めされるかなど。大人でも知らないことや,「へ―そうなんだ」と勉強になります。この番組の監修者佐藤雅彦さんを見たとき,どこで見た記憶がありました。本棚を調べてみると,『佐藤雅彦の毎月新聞』がありました。
2003年に発行されたもので,本の帯には『佐藤雅彦が毎日新聞で4年にわたり連載した,大人気の月1コラム,その名も「毎月新聞」。…』とあります。読み返してみると,例えば入試や国家試験のシーズンですが,「入試の心得」というコラムには,大学入試の監督者を前に学部長の挨拶が紹介されています。「儀礼的な挨拶が必要だろうか」と懐疑的に思っていたら,その学部長は「今日は,私たちと一緒に,これから4年間あるいはそれ以上一緒に勉強する仲間を選ぶ大切な日です。ひとりでも優秀な学生がくるように皆さんも緊張感を持って臨んでください」と話されたそうです。教員として,初心に戻り,肝に銘じなければならない言葉だと思いました。
本学の入試も,後期入試(一般選抜と大学入学共通テスト利用)とAO入試が残っております。仲間となって一緒に勉強しましょう。
臨床福祉学科 長友道彦でした。
2021年1月21日
令和3年度入学生から、臨床福祉学科ではスクールソーシャルワーカーの養成が始まります。
スクールソーシャルワーカーについて学べるのは、宮崎県では九州保健福祉大学 臨床福祉学科だけです。ソーシャルワークの専門資格である「社会福祉士」をベースにスクールソーシャルワーカーの養成を行います。
スクールソーシャルワーカーとは、小学校、中学校、高校といった「学校」を主な拠点として働く専門家です。具体的にはいじめ、不登校、非行、発達障害、精神疾患や経済的な問題など、子どもたちが抱える「生きづらさ」を共感し、また一緒に考え解決につなげ、さらに学校や地域にも働きかけることで、学校が安心・安全な場所になるための役割を担うソーシャルワーカーです。
学校は本来教育を受ける場所ですが、「生きづらさ」のために安心して教育が受けられない子どもたちがいます。子どもたちが学校で安心して教育が受けられるようにスクールソーシャルワーカーの必要性が高まっており、全国的に配置が進められています。
スクールソーシャルワーカーは、子どもたちの話しに耳を傾けるのはもちろん、ときには先生や保護者の話しを聞いたり、学校以外の機関(児童相談所やフリースクールなど)と連携を図ったりします。このような取り組みをする際にソーシャルワークという専門性が必要になります。
臨床福祉学科ではソーシャルワークの基礎的な理解から、スクールソーシャルワークといった、より専門的な知識、技術を学ぶことができます。
臨床福祉学科 日田 剛
2021年1月20日
臨床福祉学科は、社会福祉士・精神保健福祉士・介護福祉士のほかに、
『スクールソーシャルワーカー』
『高等学校教諭1種免許状(福祉)』
の養成もしています。
ここでは、教員免許の取得について紹介します。
本学科では「社会福祉士国家試験受験資格+高等学校教諭1種免許状(福祉)」の取得に対応したカリキュラムを編成しています。
これに加えて星槎大学との連携協定を締結したことにより、星槎大学で開講される必要科目を通信教育で履修することで、「幼稚園2種」「特別支援2種」「小学校2種」教員免許状の取得ができます(高等学校教諭1種免許状(福祉)の取得が前提となります)。学費は連携生料金が適用されます。
<必要な費用の目安(2021年4月時点)>
小学校2種 約320,000円(通常の科目等履修生は約420,000円)
特別支援2種 約230,000(通常の科目等履修生は約300,000円)
幼稚園2種 約260,000円(通常の科目等履修生は約330,000円)
※以上に加えて、スクーリング旅費・教材費・送料等が必要になります
本学科は福祉士養成の学科であるため、高等学校教諭1種免許状(福祉)の一部の科目と星槎大学の通信教育科目は、卒業に必要な単位数には換算されません。
教員免許状を取得するためには、通常の学生生活に比べて経費・学習量は増えてしまいますが、卒業後の進路に教育現場での活躍が加わります。
臨床福祉学科は先生への道もサポートします。臨床福祉学科での福祉と教育の学びで、あなたの未来を輝かせよう。
臨床福祉学科 三宮
2021年1月13日
新しい年が始まりました。(一応)あけましておめでとうございます。コロナに振り回された昨年でしたが,相変わらず終息どころか,逆に拡大の気配を見せています(1月13日時点)。そういうときには,ちょっとうれしい話を紹介して笑顔?幸せ?のお裾分けは如何でしょうか。
まず,昨年11月に宮崎県の教職員採用試験の結果が出ました。今回は本学の4年生や卒業生たちの健闘が光ります。その中で,私が所属している臨床福祉学科の卒業生も努力と苦労が報われました。1人は高校「福祉」の免許を持って卒業後,小学校で講師をしながら系列校の吉備国際大学の通信制を利用して小学校免許を取得(予定)して,小学校の教壇に立つ男性です。本学の特色である福祉の心を学んだ教小学校師の誕生です。
もう1人は,高校「福祉」と「公民」の免許を持って卒業後,「福祉」の教員を目指して講師を続け,来春めでたく採用されることになった女性です。
教職課程の担当として彼らの教育実習指導に高校を訪問した事を思い出します。6月という梅雨時であったせいもありますが,まさに汗だくになって授業していました。そうした努力が報われたことを心から喜んでいます。
もう一つの嬉しいニュースは,高校の教え子に関することです。その女性は阪神淡路大震災で罹災して,勤務校の2年生に転校してきて,私が受け持ちになりました。被災後の転校ということで精神的にも辛かっただろう思いますが,無事に卒業しました。そして卒業と同時に,兵庫県に帰ってゆきました。年賀状のやりとりをしており,3年前関西に旅行した折りに,二十数年ぶりに再会しました。そのときに結婚しているが子どもに恵まれない事を話してくれました。昨年の賀状にも「妊活」という文字が見えました。それだけに今年の元旦に,可愛い赤ちゃんの写真の入った彼女からの賀状を見て「良かった~」と喜び,思わず電話しました。私自身が長女の誕生まで8年間かかったこともあり,本当に嬉しい限りでした。
この2つの話だけでは華がなく,新年にふさわしい写真はないかと思っていたら,私にとって嬉しいCDが発売されました(写真)。「greenfields/THE GIBB BROTHERS’ SONGBOOK VOL.1」私が大好きなビー・ジーズの長男であったバリー・ギブが,アメリカ音楽界を代表するアーティストとコラボしてビー・ジーズの作品を蘇らせたCDです。
今年こそは良い年になりますように祈念しながら。 臨床福祉学科 長友道彦でした。
2020年10月 6日
後期の授業がはじまりました。4年生は、令和3年2月6日・7日に行われる国家試験に向けて、ラストスパートをかける時期に入ります。前期から、2週間に1回のペースで学内模擬試験を実施してきました。後期も同様に学内模擬試験と全国統一模擬試験を合わせて計8回予定しています。早速、10月3日(土)には、社会福祉士会全国統一有料模擬試験を行いました。
臨床福祉学科では、21名の学生が受験します。着実に勉強の成果が出ている人、もう少し頑張れば合格圏域に達しそうな人、かなり努力が必要な人と様々ですが、まだ間に合います。粘り強く最後まであきらめないでもらいたいものです。大学での学びの集大成の一つとして、受験者全員が合格の切符を手に入れられるよう、教員も一丸となってバックアップしていきます。
国家試験対策委員会 川﨑 順子
2020年8月31日
「私は〇〇を勉強しに行くんだから、××なんて科目は関係ない」
「私はここで□□の資格を目指すんだから、△△なんかやっている場合じゃない」
学内外問わず、ほんのたまにですが、上記のようなことを言う若者に出会います。こういう考え方は正しいでしょうか?
考えるヒントをお話ししましょう。
介護施設で働く職員Aさんがいました。
ある利用者さんが中国の生まれであることを知ったAさんは、大学の第二外国語科目で習った中国語で、あいさつと簡単な自己紹介をしたのです。
その瞬間、その利用者さんの顔がパッと輝き、「ああ、中国語~!」「ハンユィ ジァン ダ ヘンハオ ア!(中国語お上手ね!)」。とても喜んでくれました。
それ以来、おしゃべりしたいことがあると「あの人を呼んで!」。Aさんをとても信頼し、何でも話してくれるようになったのです。
母語は誰にとってもアイデンティティの一部です。片言でも、挨拶だけでも、相手が自分の母語で親しく話しかけてくれれば、自分は尊重されていると感じ、心が通じ合うのです。
ちょっとした出来事ですが、Aさんも自分の存在意義を感じ、より積極的に仕事に取り組めるようになりました。
また、Bさんは、転職を経て、ある企業に就職しました。
数年が経過したときのこと。Bさんは上司から海外赴任を打診されます。
その企業は台湾にも関連の施設を構えており、Bさんはそこで働くことになったのです。
こんなとき、大学時代に学んだ中国語が、古い引き出しの中から復活するのです!
Bさんは、かつて使った教科書を取り出します。そこで、自分がすでに中国の「最初の一歩」を理解していることを再発見するのです。同時に、中国語の勉強法も思い出します。
ここが重要です。大学における第二外国語の意義は、じつはペラペラになることではありません(そもそも週1回90分の授業でそれは難しいです)。
そうではなく、勉強のやり方を学ぶことにあるのです。
Bさんは、職務上の必要性も中国語学習のモチベーションに加わり、そこからの進歩は目を見張るほど早いものとなりました。
これらは、大学の教養科目が「生きる力」に繋がった例と言えましょう。
私は基礎科目も担当しているので、中国語の例を挙げましたが、ある学問が役に立つか立たないかなんて、大学に在学しているわずか数年間では分かるはずがありません。
とくに、1~2年生のうちは、興味のある学問について、免許資格に関係があるか否かに関わらず、何でも積極的に学んでみましょう。「つまみ食い」、大いにおすすめします!
大学の魅力は、「知」の「異種格闘技」にあります。一見するとまったく関連ないような学問どうしが、意外なところでぶつかり合い、繋がり合い、新たな展開を生んでいくのです。
「自分の専門はこれだから、こんなの必要ない、あんなの必要ない」
大学におけるこのような減算的思考は、人生そのものを味気なくし、発展のチャンスをも摘む、とすら思うのです。
(登坂 学)
上海ウォーターフロントの夜景
写真引用: King of Hearts 氏 / CC BY-SA (https://creativecommons.org/licenses/by-sa/4.0)より
2020年6月 3日
本学も6月1日から対面授業が再開しました。久しぶりに学生が行き交い賑わうキャンパスをみて、少しほっとしました。このまま感染が終息に向かってほしいです。
6月2日付の朝日新聞朝刊に、福祉を学ぶ意味を考えさせてもらえる投書があったので紹介します。
高校生が書いたもので「わたし流「出張デイサービス」」というタイトルでした。
内容は、新型コロナウイルスの影響による休校中、母に「何かしたら?」と言われて、隣家に住む一人暮らしのおばちゃんの家に「出張デイサービス」に行くというものでした。
普通、デイサービスといえば、利用者がデイサービスセンターに通所し食事や入浴、レクリエーションなどをして過ごします。在宅サービスのなかでも中心的な役割を担っている福祉サービスです。それをヒントにして、彼女の方からおばちゃんの家に出向いていき、楽しい時間を過ごしてもらおうと考えたようです。中学生になってから会う時間が減っていたので毎週月曜日に2時間通い、2人で話をしたりゲームやクイズをして思いっきり笑って過ごしました。最後のデイサービスの日におばちゃんが「とても楽しかった。ありがとう」と言ってくれたことで、「学校生活以外にも自分のやれることがあるんだ」という言葉でこの文章を結んでいました。この投書の中で最も考えさせられたのは、次の部分でした。
おばちゃんは先週2人でやったことを覚えていない時があって、少し怖かった。なんて声をかければいいか悩んだけど、笑いながら「先週もこれ、やったよ」などと伝えた。忘れたら、何回も言えばいい。
この「怖かった」という部分に福祉を学ぶ大きな意味があるような気がします。物忘れのあるおばちゃんをみて、「経験したことを忘れる恐怖」「おばちゃんのこれからの生活に対する心配と不安」「かわいがってくれている私のことも忘れてしまうのではないのかという悲しみ」、いろいろなことを考えた結果の「怖かった」なのかもしれません。
臨床福祉学科で福祉を学んだ学生には、本人だけでなくご家族・ご親族など関わりのある方々にも寄り添い、それぞれの心の中にある思いに気づける人に成長してほしいです。
臨床福祉学科 三宮基裕
2020年5月 7日
こんにちは、臨床福祉学科の清水です。
大学では、4月27日~5月1日の間に学年別に遠隔授業と新型コロナウイルス感染予防等の説明会を開きました。また、各自が自宅に戻り、短時間でしたが遠隔の模擬授業も行いました。
久しぶりに皆さんと会えましたが、今までのような対面授業は難しい状況です。
5月7日より遠隔授業が始まります。
皆さんと授業でお会いできるよう、教員も遠隔授業に向け準備を進めています。
学生の皆さん、一緒に乗り越えていきましょう!
清水は、授業がお休みの間、布マスクを大量に手作りしていました。
実は、介護福祉コースの生活支援技術演習(家事Ⅱ)という科目では、ミシンや裁縫を教える時間があります。
今回は、授業が始まったら「マスクを作る」ための教材づくりの一環として、家政実習室に眠っていた布を利用し、教員と布マスクを作成していました。
しかし、なかなか授業が開始できず、学生へ配布をしようとの声も挙がり、大量のマスクの作成が始まりました。学生全員に配布するとなると、物資や人手が足りず、布の提供や型どり、ミシンでの縫製、洗濯、アイロンがけ、ゴム通し等の作業を、多くの教職員(の家族にも)、臨床福祉学科の学生さんにお手伝いいただき、マスクができました。
臨床福祉学科の皆さんには、説明会の来学時に配布しました。使い心地はいかがですか?
今はサージカルマスクをお店で見かけるようになってきましたが、高額のものが多いです。
また、今後の学外実習等ではマスクの着用が必要になってきます。
是非、サージカルマスクは実習用に確保し、普段使いに布マスクを使用してください。
それではまた、授業でお会いできるのを楽しみにしています。
2020年4月24日
新型コロナウィルス感染拡大を受けて、最近ニュースで「ソーシャルディスタンス」という言葉を目にします。「社会的距離」と訳されるようで「人と人との間に距離を取る」ことを意味するようです。
PRESIDENT Online 「海外では当たり前「ソーシャル・ディスタンス」はなぜ日本で守られないか」 2020/4/17付け https://president.jp/articles/-/34660
正確な情報かどうか確認していませんが、YAHOO知恵袋を見るとアメリカではSocial distancing または Physical distancing と呼ばれこれが「対人距離」を表す言葉だそうで、Social distance では、人種、性的思考、階級など社会的な(グループとの)距離、という意味で用いられるそうです。
また、別の方のコメントでは「最近ソーシャルネットワーク(SNS)という用語が世界的に大流行?しているので、おそらくsocialという言葉が、誰にでもわかる言葉として使われたのでしょう。」とありました。たしかに、スマートフォンが普及してからSNSという言葉を日常的に聞きます。
その他、ソーシャルがつく言葉として、ソーシャルエンジニアリング (social engineering)、ソーシャルドリンカー (social drinker)、ソーシャルビジネス (social business)、ソーシャルマーケティング (social marketing)などもあるようです。
ふと、「”social”を ”社会的”と訳したとき日本ではどうなのだろう?」と考えてみると、日常的に使う「社会的〇〇」という言葉はすぐには思いつきませんでした。英語では「ソーシャル」という言葉はなじみ深いものなのだと感じました。
「ソーシャル」がつく言葉の一つに「ソーシャルワーク (social work)」があります。
日本語訳として「社会福祉」と訳されることが多いですが、意味することが厳密に認識されていないような気がします。
「社会福祉」と聞くと「困っている人々への支援」という意味で主に障がいや高齢者などが対象として理解されがちですが、本来は、その対象はすべての人びとであり、その活動は支援だけでなく社会に働きかけていくことも含んでおり、「人が集団のなかででより良く生きるための活動」といった意味なのだと思います。
すべての人が分け隔てなくより良く生活できる。そんな社会を実現するために活動するのがソーシャルワーカー(social worker)なのでしょう。
本学で福祉を学ぶ学生諸君に「ソーシャルワーク (social work)」が意味する本質について問いかけ、深く考えるきっかけを作ってあげようと思います。
臨床福祉学科 三宮基裕
2020年4月10日
新型コロナの影響で、本学の講義開始は4月20日からです。
たくさんの期待を持って新入生が入学してくれましたが、大学の楽しさを実感するには、しばらく時間がかかりそうです。
最近読んだ2冊の本のなかで、同じ言葉が出てきました。それは「時流」という言葉です。
「時流」とは、「その時代の風潮・傾向」という意味です。
1冊目の本のタイトルは『時流に反して』(竹山道雄、文藝春秋、1968)というもので、以前、このブログ※で紹介した先生にいただいた本です。
※ 臨床福祉学科ブログ 『読書の冬休み』2020年1月7日
第二次世界大戦中から戦後の筆者の体験や、当時の政治や世論の考えなどが記されたもので、「なぜ人々は戦争へと突き動かされたのか」ということが述べられていました。戦争など誰もしたいわけがありません。せざるを得ない状況が当時にはあり、世論も疑問を持ちながらもその時代を生きたのだと感じました。
2冊目は『天、共に在り アフガニスタン三十年の闘い』(中村哲、NHK出版、2013)です。中村哲さんは福岡出身の医師で、30年以上アフガニスタンで活動しました。先生は、医療活動をするなかで水と食料不足が根本的な問題であることに気づき、医師でありながら独学で河川工事の技術を学びました。そして地元住民を指揮し、沙漠に水を引き農地を復活させ、安定した水の供給と自給自足の生活を実現しました。残念ながら昨年の2019年12月に現地で銃撃にあい亡くなられました。
この本の終章に日本の人々に対するメッセージが書かれていて、その一説に「時流」という言葉が出てきました。
「変わらぬものは変わらない。江戸時代も、縄文の昔もそうであったろう。いたずらに時流に流されて大切なものを見失い、進歩という名の呪文に束縛され、生命を粗末にしてはならない。」(pp.245-246)
経済中心で目まぐるしいスピードで進む時代のなかで「本当に大切なものは何か」ということを問うているように感じます。
1968年と2013年という半世紀近くも離れた書物から「時流」というキーワードの重なりをみて、周りの雰囲気に押されて無考えにならず、今、起きていることじっくり考える大切さを学びました。
これから日本はますます少子高齢化が進みます。また、多様性が広く認識され、いろいろな価値観を持つ方と接することになるでしょう。
臨床福祉学科の学生には「時流」に流されず、これからの福祉社会を考える学生に成長してもらいたいです。
三宮 基裕
日 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 |
---|---|---|---|---|---|---|
|
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 |
7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 | 13 |
14 | 15 | 16 | 17 | 18 | 19 | 20 |
21 | 22 | 23 | 24 | 25 | 26 | 27 |
28 |
|
|
|
|
|
|
Copyright © 2021 九州保健福祉大学 All Rights Reserved.