医療薬学研究科 医療薬学専攻 博士課程(4年制)
臨床現場において指導的立場に立てる薬剤師を養成する

カリキュラム
カリキュラムの内容
1) 科目履修:
本研究科では、レギュラトリーサイエンスの概念に基づき、医薬品の品質、安全性、有効性を十分な科学的根拠により、予測、評価、判断でき、これらの能力を総合的に活用する能力を涵養する。本研究科院生の将来の進路として、
- 病院薬局勤務希望
- 調剤薬局勤務希望
- 病院薬局または調剤薬局勤務を想定しているが、まだ特定していない
- 基礎系大学教員や創薬研究者希望等の4つのパターンを想定している。
- 統合された薬の知識を必要とする医療従事者の5つのパターンを想定している。
従って、研究指導教員は、入学時に院生の将来の進路について面談をおこない、必修6科目に加えて推奨履修モデルを提示し選択科目を決定する。
具体的には、1年次に「医療倫理学特論」と「薬学研究方法特論」2科目(4単位)を必修とし、ここでは、医療人としての臨床の場における倫理問題を自己解決できる倫理思考を習得させ、さらに、薬学における研究方法に関する多角的な知識を習得することで臨床現場において発生した問題への対処能力を涵養する。
そして、医薬品の品質、安全性、有効性について科学的根拠に基づき予測、評価、判断できる能力を涵養する科目として、①品質、②安全性、③有効性の3群に分類し、各群に主要科目4科目、合計12科目を、さらに、各群におけるそれらの能力の総合的活用を目指す科目として「医療薬学基礎演習Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ」の3科目を配している。
具体的には、「①品質」科目群では、「医療分子機能化学特論」、「東洋医薬学特論」、「臨床分析化学特論」、「応用薬剤学特論」、を、「②安全性」科目群では、「免疫化学療法学特論」、「薬品作用学特論Ⅰ・Ⅱ」、「医療公衆衛生薬学特論」、を、「③有効性」科目群では、「臨床薬学特論Ⅰ・Ⅱ」、「フィジカルアセスメント特論」、「感染症治療薬学特論」、を専門選択科目として合計12科目(24単位)を編成し、その中から9科目(18単位)以上修得し、また、「①品質」科目群には「医療薬学基礎演習Ⅰ」を、「②安全性」科目群には「医療薬学基礎演習Ⅱ」を、「③有効性」科目群には「医療薬学基礎演習Ⅲ」を必修科目として合計3科目(6単位)を編成し、最終年次の4年次には、安全で効果的な薬物療法を提案できるよう「医療薬学総合演習」1科目(2単位)を必修科目として配している。
2) 特別研究:
特別研究における論文作成で培われる論理的思考能力は、これらの総合的活用能力を飛躍的に増幅させることで医療人として最善の職責を果たすことができ、臨床現場において指導的立場に立てる医療人の養成に極めて重要である。従って、博士論文の主題は、研究指導教員の指導の下、院生が将来の進路に捉われることなく純粋な学術的興味に従い、さらに医薬品の品質、安全性、有効性の独立した3群の区分に捉われることなく、研究指導教員が取り組んできたこれまでの研究テーマを参考にして討議を重ね決定する。即ち、特別研究の目的は、社会に貢献できるより質の高い論文を作成することであり、その過程の中で院生が高度な論理的思考能力を身につけることにある。
3) 高度臨床能力の涵養:
本学は全国の薬学部に先駆け、「バイタルサインが読める薬剤師・フィジカルアセスメントが実施できる薬剤師教育」に積極的に取り組み、薬剤師の職能拡大に取り組んで来た。この取り組みは、全国の薬学教育の模範となるべく文部科学省の教育支援プログラム「医療人GP」に採択されており、高く評価されている。現在、模擬ベッドサイド実習室には、多くの患者ロボットを整備しており、ロボットはコンピューター制御で種々の疾患を持つ患者の病態をバイタルサインとして出力が可能となっている。すでに大学院教育においてこれらを活用するために、多くの主要典型症例をシミュレーションできるプログラムを開発している。これからの薬剤師には、医師に対し調剤や医薬品の情報提供のみに留まらず、薬剤師自身が患者の身体情報を直接把握し、医師がより適切な処方設計を行えるよう支援していく能力が求められる。本研究科では、高度臨床能力を涵養する薬剤師教育において、本学の模擬病院薬局、模擬調剤薬局と模擬ベッドサイド実習室での患者ロボットを組み合わせた演習プログラムを使用する。さらに、学外の薬局や病院薬局での医療現場における演習は、総合的な能力拡大に不可欠と考えられるため、1年次から4年次を通じて、院生は本学連携薬局や病院薬局での少なくとも週1日の医療現場体験を推奨する。
カリキュラム表
科目群 | 科目名 | 開講年次 | 必修 | 選択 | 備考 |
---|---|---|---|---|---|
医療薬学専攻科目群 | 医療倫理学特論 | 1 | 2 | 3科目6単位修得 | |
薬学研究方法特論 | 1 | 2 | |||
医療薬学総合演習 | 4 | 2 | |||
(特別研究) | 1~4 | 単位なし | |||
品質科目群 | 医療分子機能化学特論 | 1・2・3 | 2 | 各科目群の必修科目を含め2科目4単位以上を選択し、12科目24単位以上修得 | |
東洋医薬学特論 | 1・2・3 | 2 | |||
臨床分析化学特論 | 1・2・3 | 2 | |||
応用薬剤学特論 | 1・2・3 | 2 | |||
医療薬学基礎演習Ⅰ | 1・2・3 | 2 | |||
安全性科目群 | 免疫化学療法学特論 | 1・2・3 | 2 | ||
薬品作用学特論Ⅰ | 1・2・3 | 2 | |||
薬品作用学特論Ⅱ | 1・2・3 | 2 | |||
医療公衆衛生薬学特論 | 1・2・3 | 2 | |||
医療薬学基礎演習Ⅱ | 2・3 | 2 | |||
有効性科目群 | 臨床薬学特論Ⅰ | 1・2・3 | 2 | ||
臨床薬学特論Ⅱ | 1・2・3 | 2 | |||
フィジカルアセスメント特論 | 1・2・3 | 2 | |||
感染症治療薬学特論 | 1・2・3 | 2 | |||
医療薬学基礎演習Ⅲ | 2・3 | 2 | |||
必修科目6科目12単位、選択必修科目18単位以上 合計30単位以上修得 |
※修了要件は、4年以上在籍し、標記カリキュラム表の通り、必修科目12単位を含め、選択必修科目18単位以上合計30単位以上を修得し、在籍中に博士論文を提出し最終試験に合格した者。
カリキュラムの構成図

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