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機能性多糖体成分「β-グルカン」が免疫力アップのワクチンアジュバント となる可能性を解説した論文を国際誌に発表しました!

お知らせ 2021.11.12

 

順正学園九州保健福祉大学免疫学研究所長で副学長の池脇信直教授(専門は公衆衛生学)は、パナマ共和国とインド共和国の研究者と共同で機能性多糖体成分β–グルカンがワクチンアジュバント(免疫増強作用)として有益であることを解説した論文(下記PDF)を国際的に権威のある医学雑誌(ONCOLOGY REPORTS 47:14,2021)に発表しました。

免疫学研究所は、長年、学術ファシリテーターとして健康維持・増進のための新しい機能性多糖体成分であるβグルカンを研究してきました。開発された黒酵母が産生するβ–グルカンは免疫活性作用・脂質異常改善作用・血糖値上昇抑制作用などの生理的作用があることが明らかになっています。論文では、β-グルカンがすべての免疫システム(粘膜免疫、自然免疫、獲得免疫、腸管免疫、訓練免疫)を強化する可能性を解説しています。

鼻や口から侵入した病原体は唾液腺組織の粘膜免疫により阻止されます。体内に侵入した場合は、自然免疫、獲得免疫、腸管免疫、訓練免疫により排除されます。βグルカンはこれらすべての免疫システムに対してワクチンアジュバント作用を持つ可能性があることがわかりました。

アジュバントとは、ワクチンを強化させてワクチンの働きを補助するものです。予防医学や公衆衛生の分野では、ワクチンと併用することにより、その作用を増強するために使用されます。この論文でも明らかなように、β-グルカンは血液細胞が生成(造血)される骨髄にも作用するため、より有益にワクチンアジュバント作用を発揮すると推測されます。

今後、βグルカンは、健康維持・増進のための免疫増強として、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)や未知の感染症に対する予防や後遺症改善のワクチンアジュバントとして、保健・医療・福祉のあらゆる側面から研究を行うことが推奨されます。

免疫学研究所は、免疫学の分野における独創的・学際的研究を通して、人々の健康と保健・医療の発展に貢献することを使命として、研究所のリソースを最大限に活用しながら、これからも教育現場、医療現場、さらには世界に向けて情報を発信して参ります。

Review: β‑glucan vaccine adjuvant approach for cancer treatment through immune enhancement (B‑VACCIEN)

in specific immunocompromised populations. ONCOLOGY REPORTS 47:14,2021.

★論文PDFはこちらから ⇒ ◆解説(Review)2021-11-12

★論文URLはこちらから ⇒ https://doi.org/10.3892/or.2021.8225