医療薬学研究科 医療薬学専攻
博士課程(4年制)

「医療現場において指導的立場に立てる有能な医療人を目指して」

MESSAGE

研究科長挨拶

大学院医療薬学研究科長

大倉 正道

九州医療科学大学は、「学生一人ひとりのもつ能力を最大限に引き出し引き伸ばし、社会に有為な人材を養成する」ことを建学の理念として、教育・研究に取り組んでいます。本学の薬学部薬学科では、全国共通の「薬学教育モデル・コアカリキュラム」を基盤とした教養教育、基礎薬学、医療薬学、実務実習の充実した教育課程に加え、独自に「予防薬学」、「臨床薬学」の観点からの学部教育を行うことで、広く人の健康を考えることができ、生活習慣の改善や予防食品・予防栄養素等の知識を患者に提供することにより、「患者を中心とした医療」をサポートできる有能な薬剤師の養成を行っています。今、日進月歩の科学の発展に伴い、医療も高度に進化し続けています。そのような中で近年、科学の発展を放置するのではなく、社会のために最適化していく学問、レギュラトリーサイエンスの概念が提唱されています。今の医療現場においては、医薬品の品質・安全性・有効性を十分な科学的根拠に基づいて予測・評価・判断する能力を身につけ、これらの能力を総合的に活用できる医療人が求められています。本学の大学院医療薬学研究科は、大学院修了後に博士(医療薬学)の学位を取得される皆様が医療現場において指導的立場で活躍されるような研究・教育課程を用意しています。大学院での研究では、「解決すべき新奇な問題の本質の把握」、「解決戦略の発案」、「解決に取り組むモチベーションの維持や解決努力の継続」、「状況に応じた解決戦略の変更」、「同僚との連携」などを多々経験することで、指導的立場の医療人に求められるさまざまな能力が鍛えられると思います。本研究科の4年間の課程で多くを学んで自信を深められ、医療人としての職責を果たせ、医療現場で指導的立場に立てる医療人となられることを期待します。

カリキュラム

カリキュラム表

必修科目

選択科目

医療薬学専攻科目群 ※1

担当教員 開講年次 単位

医療倫理学特論

1 2

医療薬学研究方法特論

1 2

医療薬学総合演習

3・4 2

(特別研究)

1~4 単位なし

品質科目群 ※2

担当教員 開講年次 単位

医療倫理学特論

1・2・3 2

東洋医薬学特論

1・2・3 2

臨床分析化学特論

1・2・3 2

応用薬剤学特論

1・2・3 2

医療薬学基礎演習Ⅰ

1・2・3 2

安全性科目群 ※2

担当教員 開講年次 単位

免疫化学療法学特論

1・2・3 2

薬品作用学特論Ⅰ

1・2・3 2

薬品作用学特論Ⅱ

1・2・3 2

医療公衆衛生薬学特論

1・2・3 2

医療薬学基礎演習Ⅱ

2・3 2

有効性科目群 ※2

担当教員 開講年次 単位

臨床薬学特論Ⅰ

1・2・3 2

臨床薬学特論Ⅱ

1・2・3 2

フィジカルアセスメント特論

1・2・3 2

感染症治療薬学特論

1・2・3 2

医療薬学基礎演習Ⅲ

2・3 2

※修了要件は、4年以上在籍し、標記カリキュラム表の通り、必修科目12単位を含め、選択必修科目18単位以上合計30単位以上を修得し、在籍中に博士論文を提出し最終試験に合格した者。
※1 3科目6単位修得
※2 各科目群の必修科目を含め2科目4単位以上を選択し、12科目24単位以上修得

カリキュラムの内容

1) 科目履修

本研究科では、レギュラトリーサイエンスの概念に基づき、医薬品の品質、安全性、有効性を十分な科学的根拠により、予測、評価、判断でき、これらの能力を総合的に活用する能力を涵養する。本研究科大学院生(以下、学生)の将来の進路として、

  1. 病院薬局勤務希望
  2. 調剤薬局勤務希望
  3. 病院薬局または調剤薬局勤務を想定しているが、まだ特定していない
  4. 基礎系大学教員や創薬研究者希望等の4つのパターンを想定している。

従って、研究指導教員は、入学時に学生の将来の進路について面談をおこない、必修6科目に加えて推奨履修モデルを提示し選択科目を決定する。

具体的には、1年次に「医療倫理学特論」と「医療薬学研究方法特論」2科目(4単位)を必修とし、ここでは、医療人としての臨床の場における倫理問題を自己解決できる倫理思考を習得させ、さらに、薬学における研究方法に関する多角的な知識を習得することで臨床現場において発生した問題への対処能力を涵養する。

そして、医薬品の品質、安全性、有効性について科学的根拠に基づき予測、評価、判断できる能力を涵養する科目として、①品質、②安全性、③有効性の3群に分類し、各群に主要科目4科目、合計12科目を、さらに、各群におけるそれらの能力の総合的活用を目指す科目として「医療薬学基礎演習Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ」の3科目を配している。

具体的には、「①品質」科目群では、「医療分子機能化学特論」、「東洋医薬学特論」、「臨床分析化学特論」、「応用薬剤学特論」を、「②安全性」科目群では、「免疫化学療法学特論」、「薬品作用学特論Ⅰ・Ⅱ」、「医療公衆衛生薬学特論」、を、「③有効性」科目群では、「臨床薬学特論Ⅰ・Ⅱ」、「フィジカルアセスメント特論」、「感染症治療薬学特論」、を専門選択科目として合計12科目(24単位)を編成し、その中から9科目(18単位)以上修得し、また、「①品質」科目群には「医療薬学基礎演習Ⅰ」を、「②安全性」科目群には「医療薬学基礎演習Ⅱ」を、「③有効性」科目群には「医療薬学基礎演習Ⅲ」を必修科目として合計3科目(6単位)を編成し、3・4年次には、安全で効果的な薬物療法を提案できるよう「医療薬学総合演習」1科目(2単位)を必修科目として配している。

2) 特別研究

特別研究における論文作成で培われる論理的思考能力は、これらの総合的活用能力を飛躍的に増幅させることで医療人として最善の職責を果たすことができ、臨床現場において指導的立場に立てる医療人の養成に極めて重要である。従って、博士論文の主題は、研究指導教員の指導の下、学生が将来の進路に捉われることなく純粋な学術的興味に従い、さらに医薬品の品質、安全性、有効性の独立した3群の区分に捉われることなく、研究指導教員が取り組んできたこれまでの研究テーマを参考にして討議を重ね決定する。即ち、特別研究の目的は、社会に貢献できるより質の高い論文を作成することであり、その過程の中で学生が高度な論理的思考能力を身につけることにある。

カリキュラムの構成図

POLICY

3つのポリシー

POLICY01

ディプロマ・ポリシー
卒業認定・学位授与の方針

九州医療科学大学大学院医療薬学研究科医療薬学専攻(以下、「本研究科」)では、本大学院の課程を修め、30単位の単位修得と学位論文等の条件を満たし、レギュラトリーサイエンスの概念に基づき、医薬品の品質、安全性、有効性を十分な科学的根拠により、予測、評価、判断できる能力を有し、これらの能力を総合的に活用することで、医療人として最善の職責を果たすことができ、臨床現場において指導的立場に立てるよう、下記の力を身につけた人に対して学位を授与します。

1.臨床現場における倫理観と問題解決能力

臨床現場における倫理問題を患者、家族、生活者の人権や尊厳に配慮して自己解決し、人の命と健康な生活を守るために行動することができる。

2.医薬品の品質の予測、評価、判断能力

医薬品の品質について科学的根拠に基づき予測、評価、判断できる。

3.医薬品の安全性の予測、評価、判断能力

医薬品の安全性について科学的根拠に基づき予測、評価、判断できる。

4.薬品の有効性の予測、評価、判断能力

医薬品の有効性について科学的根拠に基づき予測、評価、判断できる。

5.臨床現場における論理的思考能力

臨床現場において論理的思考をもとにその能力を発揮し、指導的立場に立てる医療人として最善の職責を果たすことができる。

POLICY02

カリキュラム・ポリシー
教育課程編成の方針

本研究科は、建学の理念および修了認定・学位授与の方針(ディプローマ・ポリシー)に掲げた目標を達成するために、次のような教育内容と方法を取り入れた授業を実施し、教育評価を行います。
各科目の修了認定・学位授与の方針(DP)との関連性、カリキュラム体系・科目間の関連を示すために、カリキュラムの構成図を明示します。

1. 教育内容

1.倫理観・問題解決能力の構築
臨床の場における倫理問題を自己解決できる倫理思考能力、さらに、薬学における研究方法に関する多角的な知識を習得することで臨床現場において発生した問題への対処能力を修得します。
2.品質の予測、評価、判断能力の構築
医薬品の品質について、十分な科学的根拠に基づき予測、評価、判断するための医薬品の特性や分析法に関する知識を修得します。
3.安全性の予測、評価、判断能力の構築
医薬品の安全性について、十分な科学的根拠に基づき予測、評価、判断するための医薬品の作用機序や公衆衛生に関する知識を修得します。
4.有効性の予測、評価、判断能力の構築
医薬品の有効性について、十分な科学的根拠に基づき予測、評価、判断するための医薬品の使用法や医薬品に対する身体の機能評価に関する知識を修得します。
5.論理的思考能力の構築
特別研究および論文作成をとおして、臨床現場における論理的思考能力を修得します。

2. 教育方法

1.各科目はシラバス(一般目標、到達目標、評価方法、オフィスアワー、授業内容などを示したもの)記載の教育方法に沿って行います。
2.医薬品の「品質」、「安全性」、「有効性」に関する知識の総合的な活用能力の確認のために、段階を追ったプログラムを実施します。
3.特別研究および論文のテーマは、研究指導教員の指導の下、将来の進路に捉われることなく純粋な学術的興味に従い、さらに医薬品の「品質」、「安全性」、「有効性」の独立した3群の区分に捉われることなく、研究指導教員が取り組んできたこれまでの研究を参考にして討議を重ね決定します。

3. 教育評価

1.学期末には、各科目の修得度を確認するために、シラバスに記載の評価方法に沿って合否を判定します。
2.修了時には、博士論文本審査および最終試験の合格を求めます。

POLICY03

アドミッション・ポリシー
入学者受入の方針

本研究科では、修了認定・学位授与の方針(DP)及び教育課程の編成・実施の方針(CP)に定める教育を受けるために必要な、次に掲げる知識・技能や能力、目的意識・意欲を備えた人を求めます。

1.薬学系専門知識(薬剤師国家試験問題程度)を身につけている。

2.「指導的立場に立てる有能な医療人」になりたいという強い意志・向学心を持つ。

3.豊かな人間性と医療人として高い資質を持つ。