ベートーヴェンはロック?

台風17号に伴う竜巻が延岡市に大きな被害をもたらしました。13年前には,特急列車が横転する被害もありました。前回の時には,当時の同僚のアパートの部屋も窓ガラスが散乱する被害がありました。幸い,本人は実家に帰省していて無事でしたが,部屋にいたら生命も危なかったのではないかという話でした。自然の猛威の恐ろしさを改めて実感し,防災だけでなく,減災ということもより現実的な問題として考えなければならないということを教えてくれました。ちなみに,我が家でも防災バッグを準備しております。

 

さて,私の好きな作曲家はベートーヴェンですが,この8月に2種類の交響曲全集を聴きました。1つは,あの久石譲さんがフューチャー・オーケストラ・クラシックスを指揮した全集(写真  久石譲),もう1組はアダム・フィッシャー指揮デンマーク室内管弦楽団(写真 アダム・フィッシャー)です。

 

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今回の題の「ベートーヴェンはロック?」は久石さんの全集のキャッチフレーズ「ベートーヴェンはロックだ!」を借用しました。実際に彼がそう思っているのではなく,「クラシックを聴かない人たちにアプローチを」かけるために敢えて,刺激的な言葉を使用したということです。しかし,ベートーヴェンの交響曲の中のリズムは当時の人たちにとっては,斬新というよりも衝撃的なものであり,現在ある一定の年齢以上の人たち=別名高齢者にとってのプレスリーやビートルズの音楽との出会いと同じではなかったのかなと想像します。

久石譲さんについては宮崎駿監督のジブリ作品をはじめとした映画音楽の作曲家として有名です。私が彼の名と音楽性を知ったのもジブリ作品を通してです。以後,中古CD屋さんで彼のCDを購入して聴きましたが,その時点では映画音楽の作曲家という印象が強すぎて,それらのCDにさほどの感想は持ちませんでした。

数年前から1月号だけを購入している『レコード芸術』の広告などで,久石さんが『新世界』やベートーヴェンの交響曲もCDとして出していることは知っていました。しかし,購入するまでには至りませんでした。その理由は,CDの単価もさることながら,「片手間の(お遊びの)演奏ではないか」という先入観がありましたが,今回全集として発売されたことで,本気なのだと感じた次第です。今回,ベートーヴェンの交響曲を聴くにあたり,以前の作品を聴き直して彼の音楽の幅広さ・奥行きを思い知らされました。特に,『I am』(TOCP-6610 写真2)はヴァラエティに富んだ内容です。特に1曲目の「Deer’s Wind」は「ナウシカ」風の旋律であったり,ラフマニノフを彷彿とさせるフレーズであったり,ポール・モーリアの「蒼いノクターン」的なメロディがあったりして,楽しめます。

 

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さて,このベートーヴェンの交響曲全集を聴いての感想は?とにかく,テンポが速い。「CDが開発された際に収録時間が74分に設定されたのはなぜ?」というクイズがあります。その解の一つが,「ベートーヴェンの交響曲第九」を1枚に収めるためといいます。ところが,久石盤は58分33秒です。また,有名な「運命」はどうか。私が本格的にベートーヴェンの交響曲を聴き始めた頃の最速盤はフリッツ・ライナー指揮シカゴ交響楽団の演奏で31分13秒,最遅盤はフェレンツ・フリッチャイ指揮ベルリン・フィル盤で38分20秒。久石盤は29分36秒。その差が1分37秒で,ライナーと余り変わらないように見えますが,実は前二者は第4楽章のリピート無しでの演奏時間,こちらはリピートをしての時間ですので,いかに速いかが分かると思います。全集添付の冊子によれば,オーケストラの「フューチャー・オーケストラ・クラシックス」は2016年から長野市芸術会館を本拠地としていた「ナガノ・チェンバー・オーケストラ」を母体としたオーケストラです。長野県には,松本市に小澤征爾さんが主宰する「サイトウ・キネン・オーケストラ」があります。また西の石川県金沢市には「オーケストラ・アンサンブル・金沢」がありますので,その活動によって存在感を示すことは非常に難しいと思いますが,だからこそ,やろうという意気込みが感じられる,キャッチフレーズどおりのリズムが強調された演奏です。今のところ,この全集への評価を新聞では見ていませんが,今後の活動を見守りたいし,実際に生で聴きたい指揮者とオーケストラだと思います。

またクラシック以外の場で活動している人がベートーヴェンの交響曲全集を発表することも滅多にないことではないかと思います。ピアニストやヴァイオリニストによる全集は手元にありますが,久石さんの例は初めてではないかと思います。

もう一つのアダム・フィッシャー指揮デンマーク室内管弦楽団も初めて聴く指揮者,デンマークのオーケストラも初めてでしたが,第3番『英雄』の第3楽章に面白い解釈があり,楽しめました。

臨床福祉学科 長友道彦でした。

夏休みの勉強会

 

こんにちは。臨床福祉学科の清水です。

学生は8月中旬から9月中旬まで夏休みです。

学生のほとんどいない学内で静かな毎日を過ごしています。

 

そんな中、4年生が社会福祉士を取得するために毎日勉強会をしています。

今回は、社会福祉士の夏休みの勉強会の様子をご紹介しますね。

 

 

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「やれば合格できる」を合言葉に、希望者のみですが、夏休み中に毎日1日1科目、時間を区切って勉強しています。

 

今日の科目は、「児童や家庭に対する支援と児童家庭福祉制度」。

学生にとっては、苦手科目の一つのようです。

 

 

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解答は、参考書やテキスト、携帯などを使って、グループ全員で調べます。

スクラッチを削り、☆が出れば正解です。

間違えているところがありますね・・。

 

しかしながら、参加者は集中して学習しています。

2月の国家試験までまだまだこれから。合格目指して頑張れ!

 

社会福祉士の国家試験は、全国の合格率が3割程度しかない試験です。

昨年の本学の合格率は51.7%(平成30年度、社会福祉学部合格率)でした。

今年はどうでしょう。後期も国家試験対策の授業は続きます。

 

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9月15日(日)は、オープンキャンパス。

勉強会に来ている4年生も参加してくれます。

大学のこと、いろいろと教えてくれるはずですよ。

高校生の皆さん、講義室8(臨床福祉学科)でお待ちしております。

公共施設のあり方を考える

公共施設は身近にたくさんあります。図書館や文化センター、体育館、競技場などのほかに、学校や福祉施設、公民館なども公共施設です。

先日、延岡市の公共施設のあり方を検討する委員会に出席しました。

 

延岡市が保有する建築施設は333施設(1,412棟)あるそうです。これらの施設の多くは人口増加の時代、つまり1970年代から90年代ごろにかけて整備されてきました。古いもので築50年が経過しています。とくに1981年以前に建てられた建物は現在の耐震基準を満たしていないものもあり、大きな地震に対する対策が必要です。また、築年数が20~30年であっても、定期的なメンテナンスをしなければ建物の寿命を早めることになります。延岡市の場合、今後40年間の更新費用として1年あたり104億円ほど必要と推計しています。

この委員会は、今ある公共施設を今後どう維持するのか、つまり「廃止するのか」「更新するのか」「立て替えるのか」といったことを、各団体の代表や公募による市民の代表によって意見を出し合い、施設のあり方を検討することを目的にしています。

それぞれの団体の視点からいろいろな意見がでましたが、とても印象に残った意見があります。

 

ある地区の区長の意見

「利用目的に沿った施設利用だけでなく、災害時の避難所としての役割がある」

 

青年団の方の意見

「長くその土地にある施設は住民にとって愛着があり、人によっては拠り所になっている」

 

まちづくり活動をされている方の意見

「人通りが少なく使われなくなった施設でも、人があつまる仕掛けに施設が活用できれば、賑わいが取りもどせるのではないか」

 

建物にかかるお金は建築費用だけではありません。建てた後もそれを維持するためには定期的なメンテナンスが必要で、そのためにはお金がかかります。メンテナンスをしなければ建物はすぐに傷んでしまいます。

延岡市においても人口の減少を避けることは難しく、今ある公共施設をすべて維持し続けるだけの財源を確保するのは難しいでしょう。だから「古くてあまり使われない施設は廃止する」という方向は簡単な方策かもしれません。

ただ、先ほど紹介した意見を聴いていると、「利用が少ない」というだけで廃止するのは、長く施設を利用してきた住民にとって悲しいことだと思います。今の住民のニーズにあわせて柔軟に利用変更ができることや、経費的にも効果的な維持管理方法を検討し、大切に施設を使いつづけることも考えていく必要があると感じました。

 

公共施設のあり方は「まちづくり」の視点で考える必要があります。福祉を学ぶ学生も「福祉のまちづくり」という点から、柔軟な発想で既存の施設の利用を考えて欲しいと思います。

 

臨床福祉学科 三宮基裕